舞台は「観光地としての安楽死特区」──。この町では観光の目玉として、より安楽に、より尊厳を保った形での死に方を様々なサービスとして提供している。超高齢化社会と終活の問題、そして、究極の自由とも言うべき「死ぬ自由」という観点をベースに、それぞれが孤独に向き合うしかない「死」の問題を重層的かつ多角的にあぶり出す。
ある街に絵描きが居た。彼女は日頃からあまり人前に姿を見せず、絵ばかり描いて暮らしている。どうやらそれは、ちゃんとお金になっているようで、時たま人がやってきては、絵を買っていく。絵描きは生まれたときからこの街に居て、幼少期からずっと絵を描いていた彼女は、友達らしい友達も出来ず、周囲の人々に「変な子ちゃん」と言われ続けていた。そこへ、音楽家がやってきた。彼女はずっと各地で歌を歌って暮らしていて、ちょう