現実世界のつながりを絶たれた時代が終わろうとしていた。多くの人は喜んで太陽の下へと駆け出したが、"むこうのくに"に残ることを選んだ人もいた。そこは、画面を一枚隔てれば、生まれた場所や話す言葉、ヒトかどうかさえも関係ない、現実のしがらみが無効化された世界。その夏、ぼくは相変わらず画面の前に居て、"むこうのくに"へアクセスしようとしていた。行方をくらませた、"ともだち"を探すために——
2011年に起こった東日本大震災と、2020年以降の新型コロナウイルスによるパンデミックへの取材を元に、今を生きる人々の不安を多様な音楽と共に描いたパフォーマンス作品。2021年に東京での初演を経て、第66回岸田國士戯曲賞最終候補作品となった本作を、新演出で上演する。