何処かの地方都市、とある葬儀場の祭壇脇のフリースペース。椅子が数脚おかれた参列者が気楽に腰を下ろせる空間だ。楡原家の質素な通夜読経を終えた比較的穏やかな時間帯なのだが、故人を偲ぶ関係者に加え、遅れてきた弔問客、明日の告別式を前に、打ち合わせや準備にせわしい斎場スタッフでいささかバタバタしてもいる。どうやらたまたま重なった地元の名士の葬儀が、影響してもいるらしい。そんな中、行方不明だった家族の情報が
時は1997年4月21日、南米はペルーの首都リマにある日本大使公邸の「娯楽室」。前年の12月17日の夜に発生した地元のゲリラによる制圧・占拠から4カ月以上が経っていた。加熱する報道、平和解決を望む日本政府と、日本国籍も持つフジモリ大統領との確執、駆け引き。それらの板挟みにあい、死と隣り合わせの毎日を過ごす邦人の人質たちは、それでいて、退屈な日常の中、テーブルゲームや昼食後のいわゆる「ランチタイムセ
