何処かの地方都市、とある葬儀場の祭壇脇のフリースペース。椅子が数脚おかれた参列者が気楽に腰を下ろせる空間だ。楡原家の質素な通夜読経を終えた比較的穏やかな時間帯なのだが、故人を偲ぶ関係者に加え、遅れてきた弔問客、明日の告別式を前に、打ち合わせや準備にせわしい斎場スタッフでいささかバタバタしてもいる。どうやらたまたま重なった地元の名士の葬儀が、影響してもいるらしい。そんな中、行方不明だった家族の情報が入ったり、香典の金額が実際と合わないなどの、新たな火種が発生してくる。そして、そんな生きとし生ける者たちを静かに見つめていた者たちが、いきなりたくさん喋り出すのだが…。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
85年に旗揚げ。観客との想像力共有を信じ、細かい会話研究を武器に、演劇に残されたリアリティと知的エンターテイメントを追求している。池袋演劇祭優秀賞、シアターグリーン賞、名古屋市民芸術祭賞など受賞。代表のはせひろいちは、岸田國士戯曲賞の最終候補に3度ノミネートされている。