鈴木翁二の中編漫画『こくう物語』をベースに、「マッチ一本の話」等の短編を混じえて天野天街が脚本を書き下ろした作品。まだ江戸時代の風情を残す明治初期の山あいの旅籠屋を舞台に、姉かれんと弟平吉のきょうだいの他愛のない日常と、行商の老人の旅の記憶が交錯しながら一期一会の季節の物語がはじまる。忘れられない旋律を残してどこかへ行ってしまったものたちの面影を抱いて見上げる、「さむそうな、空と海だったなあ…」鈴
ムカシ昔、夢か死、無か私…時代がかった駅舎めく礼拝堂めく病室めくその場所に、"新感染棄望X+零號(しんかんせんのぞみエクスプラスゼロゴウ)"出発のベルが鳴り響き、悪疫と戦争と殺人の惨禍が走馬灯のように繰り返し繰り広げられる。わたしの夢なのかわたしが夢なのか?わたしが見ているのかわたしが見られているのか?すべての存在の輪郭を滲ませながら強制収容の終着駅へ向かう、ナイトメア&フェアリイテイル。長大なモ
『花札伝綺』は1967年に演劇実験室◎天井桟敷により初演。大正時代の乞食横町の葬儀屋を舞台にした「人間の生と死」の転倒をテーマにした寺山修司版「三文オペラ」と呼ぶべきニヒリスティックな喜劇。2001年、流山児祥はこの『花札伝綺』に寺山修司の市街劇台本やラジオ台本を大胆にコラージュして「街と現在」、「人間の生と死」を描き、70人余にも及ぶ登場人物達が出演し、新宿周辺で「半市街劇」を含む、壮大なテラヤ