サエボーグ初の演劇的インスタレーションとして披露されたのは、新作含め12匹のキモかわいい家畜のキャラクターたちが楽しく暮らす巨大なリビングルームだ。観客たちは、まるでドールハウスのように設えられた遊戯的空間に招き入れられ、この奇妙な動物たちと好きなだけ時間を過ごすことができる。ラテックス製の人工の皮膜と生身の皮膚が密着し、生殖と屠殺、排泄と摂取、調教と服従が拮抗しながら共存する家畜の世界で、観客は逆説的に、人間さえも管理・飼育され、家畜化される現代社会の写し絵を体感させられるのだ。(あいちトリエンナーレ2019カタログより転載)
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1981年富⼭⽣まれ/東京拠点
サエボーグは不完全なサイボーグ。半分人間で、半分玩具。⾃らの⽪膚の延⻑としてラテックス製のボディスーツを⾃作し、装着するパフォーマンスを展開。性別などの固定化されたアイデンティティや、⼈間の⾝体そのものを超越したいという強い願望を原動⼒に、雌豚や害⾍を玩具的にデフォルメしたボディスーツに⾝を包み、⽣態系の最底辺の⽣き物たちが織り成す遊戯的なユートピア実験牧場を作り出す。
これまでの全作品は、東京のフェティッシュパーティー「Department-H」で初演された後、国内外の国際展や美術館で発表されている。