昭和49年11月、大分県・別府国際観光港第三埠頭フェリー岸壁から、家族4人を乗せた車が海中に転落。母親と2人の子供は車内に閉じ込められたまま水死、男だけが真っ黒い波間にむっくりと浮かびあがった――別府・三億円保険金殺人事件はこうして始まり、そして「荒木虎美」の名前は、九州一のワルとして日本中の注目を集めていく。『虎美』は、藤田傳が事件発生直後から追い続けたこの事件の最終稿として、ひとつの犯罪をめぐる「真実」とは一体何なのかを、虎美逮捕までの捜査班の心理ドラマとして描く。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
事前予約フォームより予約の上、ご来館ください。
「1980」と書いて「イチキュウハチマル」 、通称ハチマル。
横浜放送映画専門学校(創設者=今村昌平 現:日本映画大学)を母体とし、演劇科卒業生が創立メンバーとなって、文字通り1980年に結成。首都圏劇場での新作公演の他、演鑑公演・学校公演、ルーマニア・モルドヴァ・ブラジル・韓国等での海外公演を実施。また若手俳優陣を中心とする劇団アトリエでの実験的創作など、さまざまな形態で舞台作品を発表しながら、ハチマル的オリジナリティと演劇表現のさらなる可能性を追求し続けています。
俳優・左卜全――懐かしの名バイプレイヤー。本作『ボクゼン』は、映画「どん底」で“嘉平”(=巡礼ルカ)を演じた左卜全の壮絶な俳優作業に思いを巡らせながら、一人の俳優とその妻が全身全霊で挑んだ「虚」と「実」のドラマを描くものです。映画「どん底」の重量感溢れるシーンをベースに、俳優・ボクゼンの激烈な内面が「虚実」の組み木となって立ち上がってゆきます。
江戸南郊、麻布が原—異界と人界、男と女。妖かしたちの深い情は、時空を超えて生命を継承していく。作家・小林恭二が自身の小説を戯曲化した“カブキ”的、新・都市伝説。
『大往生』は、永六輔が25年に亙り、全国津々浦々を旅する中で耳にした無名人、普通人、一般人たちの言葉の数々から「老い」「病い」「死」について、どこかで誰かが語った名言・箴言を選び出し、一冊の本にまとめあげた“言葉の書庫”である。本作品は、ある架空の養老院を舞台に、人生の熟達者たちのおしゃべり、つぶやきをちりばめながら、測ることのできない命の重さ、生きることの楽しさ、そして何より、人間が創り出した最
日本のレコード歌謡の草創期——昭和4年、「東京行進曲」の大ヒットで一世を風靡した歌姫・佐藤千夜子。激動した時代を奔放に駆け抜けた一人の女性歌手の生涯を、演出家・関矢幸雄が提唱する“素劇(すげき)”で描いた、劇団1980の代表作。舞台美術や照明、衣裳やメイクにたよらず、何もない空間の中で、”見立て”を駆使したシンプルで、しかも創造力豊かな劇様式です。見立てであるからこそ自由、何もないからこそ高まる想