急逝した月蝕歌劇団主宰の劇作家:高取英メモリアル第一弾として2020年8月、コロナ禍の中、スズナリで客席を半分にして上演された。『寺山修司―過激なる疾走―』は、寺山修司に捧げる鎮魂歌でもある。高取は,大胆にもテラヤマの生涯と劇の中の「母子の物語」をコラージュして「父=国家不在」のモノガタリを創り上げた。音楽はJ・Aシーザー、振付は神在ひろみ、主演は伊藤弘子、山丸莉菜、月蝕歌劇団の白永歩美など女優陣も参加、高取英の「暗黒宝塚」ファンで、前売開始と同時に全席完売となった。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
演出家・俳優の流山児祥が、小劇場の横断的活動を目的として1984年に設立。劇団でありながらプロデュース色の強い公演を行ってきた。2000年からは海外に進出し、近年は台湾の劇団と共同制作を行う等、精力的に活動を続け、国内での公演では、歌舞伎、シェイクスピア、寺山修司や唐十郎のアングラから最前線の劇作家の新作、名古屋や大阪で活躍する才能の発掘、韓国の現代演劇、ブロードウエイ・ミュージカルとジャンルを問わず、果敢に上演している。また、シニア演劇の可能性を広げる活動も続けている。
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宮本研の名作戯曲を日本アカデミー賞脚本賞受賞の劇作家:詩森ろばが「現在の視点」で大胆にアダプテーション。百年前、日本と中国の自由と民権を求める人々の交流を、おんなたちの視点で描いた友情と冒険の物語。
沖縄戦激戦地であった糸満市の丘の上に「南北之塔」は立っている。それは、沖縄戦で亡くなった沖縄の民と戦死したアイヌ兵士たちの慰霊碑であり、側面には、「キムンウタリ(山の民)」とアイヌ語で刻まれている。共に迫害されたふたつの民族が「日本の盾」となって戦った、その皮肉と、しかし在った魂の交流を、知念正真の傑作戯曲「人類館」をリスペクトした構造で描く。
ゴーリキーの名作を換骨奪胎した『どんぶりの底』に続き、芥川賞候補作家:戌井昭人が2016年に挑んだベケットの『ゴドーを待ちながら』の戌井昭人版。究極の無意味とエンターテインメントが交錯し、不条理を超えた人間の存在を描く音楽劇として流山児祥が演出。薄汚い場所で、男二人組、女三人組が「ヘモロゲさん」がくるのを待っている。待っても待ってやって来るのは、なんだかわけのわからない人ばかり。佃典彦、月船さらら