『アンティゴネ』は、2017年、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」からの招聘を受け製作された。静岡市・駿府城公園でのプレ公演を経て、客席数約2,000のメイン会場「アヴィニョン法王庁中庭」で演劇祭のオープニング作品として上演。人を善悪に二分しない王女アンティゴネの思想に、「死ねばみな仏」という日本人の死生観を重ねた独創的な演出、舞台全面に水が張られた装置や、高さ30mの法王庁の壁面に俳優の影を映し出す仕掛けは、大きな反響を呼んだ。19年秋には「Japan 2019」の公式企画として、ニューヨークの「パーク・アベニュー・アーモリー」で上演され、開幕翌日ニューヨーク・タイムズ電子版が「霊妙で瞑想的な異世界に引き込まれる」と激賞。さらに、米国版TIME誌が選ぶ2019年の演劇公演ベストテン第6位に選出された。
<あらすじ>
舞台は古代ギリシャ・テーバイ。先の王オイディプスは自らの出生の秘密を知り、国を追われる。その妻であり母でもあるイオカステは自死を遂げた。残された二人の息子ポリュネイケスとエテオクレスは王位を競って争い、ポリュネイケスはアルゴスに追放される。やがてポリュネイケスはアルゴス勢を率いてテーバイに攻め入り、エテオクレスとの一騎打ちとなるが、オイディプスの呪いを受けた兄弟は相討ちとなって共に果てる。そして王位はイオカステの兄クレオンのものとなった。クレオンは国を守ったエテオクレスを手厚く葬り、反逆者ポリュネイケスの死骸を野に晒して野鳥の餌にすることを命じ、これに反した者を死罪に処すことを決める。だが、オイディプス王の娘アンティゴネは王令に従わず、いさめる妹イスメネにも抗して、兄ポリュネイケスに埋葬の礼を施すことを決意する…。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
オンデマンド配信。事前に会員登録が必要です。(月額1,045円)
専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団。舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を目的とする。2007年に宮城聰が2代目芸術総監督に就任以来、より多彩な舞台芸術作品の創造や国際演劇祭の開催とともに、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成、アウトリーチ活動などを展開。
不朽の名作オペラとして知られる『ばらの騎士』。その舞台が華やかな鹿鳴館時代の日本に置き換わり、宮城聰、寺内亜矢子の初共同演出と、古典から現代音楽まで自在に操る根本卓也の音楽で、軽快な演劇作品に生まれ変わる。俳優たちの生演奏にのせ、貴族たちのドタバタラブコメディが初笑いを誘う!
街で出会った不思議な動き、思いがけない動作、街路のざわめきや呼吸、リズム、ダンスそのものである街の光景を舞台化し、今年1月フランスで上演、好評を博した「ラ・リュー(道)」にシェイクスピアの「真夏の夜の夢」のイメージを重ねた作品。ガロッタが芸術監督を務めるフランス国立グルノーブル舞踊団と静岡県舞台芸術センターの専属舞踊団SPACダンスの合同公演。
宮城聰が挑んだ、シェイクスピア晩年のハチャメチャ悲喜劇。絶望の日々にも、大いなる癒しは訪れる!幸福なシチリア王は、ある日、美しい妃と親友のボヘミア王の様子に、突如として浮気を疑い始める。不条理なまでの嫉妬から妃を責め立てる王。それを見た王子はショック死し、妃も後を追うように息を引き取り…。大切な人を失いようやく過ちに気づいた王は、悲しみと後悔にあけくれる。しかし16年後、すべての苦悩が癒される奇跡
テーバイの王クレオンと少女アンティゴネーの対立を「ナショナリズム」と「テロリズム」という図式に置き換え、国家の政治劇として描く。知的な分析力に優れた演出家のコンセプトが、SPACの俳優の身体と出会い、強度にシンプル化されたギリシア悲劇の世界を野外劇場「有度」に出現させる。