20世紀美術史に大きな足跡を残した芸術家、アルベルト・ジャコメッティ。極限まで切り詰められた痩身の塑像でよく知られているが、同時に多くの肖像画も残している。そのモデルとなった人たちの中に一人の日本人がいた。
彼こそ矢内原伊作、ジャコメッティとの濃密な対話すべてを記録に残した男である。本作品では、伊作の残した対話記録を基盤としつつも、更にその上に別の層、とある父と子――すなわち演出家である危口(木口)統之とその父、齢70を越えた洋画家である木口敬三――の物語が重ね合わされることになる。2017年急逝した、パフォーマンス集団「悪魔のしるし」主宰危統之の代表作。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
演出家の危口統之(1975年生〜2017年没)が2008年に結成。演劇的な舞台作品と、あるルールに則った即興要素のあるパフォーマンスなど、様々な作品の上演を重ねる。危口自身とその実父が出演する『わが父、ジャコメッティ』(2014年、2016年)が、海外を含む6都市で上演。パフォーマンス作品『搬入プロジェクト』は2016年までに8カ国20箇所での公演を重ねた。危口統之没後の現在は、演出家の意志を継ぐ形で「搬入プロジェクト」のオープン化を宣言した。