映像、演劇、パフォーマンスなど、領域横断的に自在な活動を展開するチョイ・カファイは、過去2度にわたるKYOTO EXPERIMENTへの参加で上演されたいずれの作品でも、ダンスという表現への深い敬慕と入念なリサーチ、そして独自のアプローチを見せてきた。テクノロジーをある種“誤用”しながら、ダンス史におけるレジェンドたちの振付を復元した『Notion: Dance Fiction』。アジアを拠点に活動する同時代のダンサーたちをリサーチし、多くのヴァリエーションを蓄積してきたプロジェクト『Soft Machine』。
個々のダンサーが刻んできた歴史という垂直軸と、アジアという単一化できない広がりをもつ水平軸を長い時間をかけ巡ってきたチョイ・カファイ。その彼が『存在の耐えられない暗黒』で出演をオファーしたのは、なんと暗黒舞踏の創始者である故・土方巽(1928-86)だった。故人である土方と対話するためにいくつかの手段が講じられた。恐山までイタコを訪ね、土方の霊を口寄せする、あるいは、残された資料から土方のアバターを生成して——
現在を生きるわたしたちと、かたちのない霊魂は、古今のメディアの力によって、共に踊ることができるのだろうか?
※以上、2019年時点の情報
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1979年シンガポール生まれ、ベルリン在住。ダンス、メディア、パフォーマンスが複雑に出会う、領域横断的な作品を展開。作品に通底するテーマは、身体の形而上学への探求である。リサーチ・プロジェクト、擬似的科学実験、ドキュメンタリー・パフォーマンスといった様々な表現に、テクノロジーとナラティブを用いて、人間の身体の未来を想像する。サドラーズ・ウェルズ劇場(ロンドン)、インパルスタンツ(ウィーン)、8月のダンス(ベルリン)を始めとする、国際的に主要な劇場やフェスティバルで作品を発表。2017年から2019年はデュッセルドルフの タンツハウスnrw、2014年から2015年にはベルリンの Künstlerhaus Bethanien にレジデンス・アーティストとして滞在。2010年にはシンガポールの国立劇場協議会より、ヤングアーティスト賞を受賞。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(デザイン・インタラクション)大学院を卒業している。
※以上、2019年時点の情報