白石加代子「百物語」第二十二夜
白石加代子「百物語」第二十二夜
筒井康隆「時代小説」は前からやりたかったものである。
筒井さんにその旨を申し上げると、「え!ほんとうにやるの?」といった反応だった。
つまり「読んでも、お客さんには何の事かさっぱりわからないからやめたほうがいい」とお考えだったのだ。
そして実際稽古に入って、これは鴨下信一でないと出来ないものであったと思い知らされた。
鴨下はこう語っている。
「『時代小説』、これは日本語のリズムで聞くべきものだ。
リズムは地口、語呂合わせ、俗謡、歌舞伎から講談、落語に至る芸能などの俗なる日本語のリズムで、
ある、ある、ある、とても全部解説しきれない。なにしろ筒井天才の作品だから」
いやぁ、その読み込みのすごいこと。筒井康隆のこじつけとねつ造とでっち上げの物語を、理路整然と切り分けていく。
劇場は筒井さんの危惧するような事態には陥らずに、まさに爆笑の渦だったのだが、これは鴨下&白石コンビだからの成果である。
1990年設立。主な作品に、大竹しのぶ「奇跡の人」、古田新太・生瀬勝久「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」、西城秀樹・鳳蘭・市村正親「ラヴ」、天海祐希「ピエタ」などがあげられる。(メジャーリーグHPより)
輝かしい命を持った13歳が自らの手でその命を絶った。誰もがその事件の当事者である。空を飛ぶ翼を、銃弾で撃ち抜かれ、二度と飛べなくなったノガモとは、夢見る力を、現実という銃弾で粉々にされしまった人間のことである。それでも彼らは生き続ける。人間を見に来て欲しい。人間ほど面白いものはないのだから。
シェイクスピア・ゼミの8人がゼミの旅行でイギリスのお城に出かけ、そこにある古い屋外劇場で「リア王」の芝居をやろうとする。シェイクスピアの言葉は我々をどこに連れていくのか。8人の旅行者はいつのまにか、人間の心が嵐のように渦巻いているシェイクスピアの世界を旅し始めている。人間の想像力がたどり着いた淵といわれる「リア王」の世界を、8人の俳優とともに探検し、体験する・・・。
白石加代子「百物語」特別編
白石加代子「百物語」は1992年に始まった。そしてやっと80本に手が届くところまでやってきた。特別編は、その中から特にお客さんの支持が熱かった作品を取り上げて、構成し直したものである。今回はその二回目となる。まず、一本目は、三遊亭円朝の「江島屋騒動」「江島屋騒動」は原題が「鏡ヶ池操ノ松影」という作品で、さまざまな因果話によって構成されたかなり長い物語であるが、今回はその中の抜き読みである。時間にし
白石加代子「百物語」第二十四夜
一夜の公演で、一演目というのは初めての試みである。また、この作品は丁度八十話という節目でもある。胸突き八丁というけれど、まさに頂上がかすかに見え始めた八合目に、鴨下信一はこの作品を選んだ。鴨下さんから上がってきた台本を読んで、これは「百物語」の代表作の一つになるなと思った。登場人物がそれぞれいろんな思惑があり、悪党ばかりであくが強い。この人間臭い世界は白石加代子とぴったりあう。原作と細かく読み比べ