白石加代子「百物語」第二十二夜
白石加代子「百物語」第二十二夜
筒井康隆「時代小説」は前からやりたかったものである。
筒井さんにその旨を申し上げると、「え!ほんとうにやるの?」といった反応だった。
つまり「読んでも、お客さんには何の事かさっぱりわからないからやめたほうがいい」とお考えだったのだ。
そして実際稽古に入って、これは鴨下信一でないと出来ないものであったと思い知らされた。
鴨下はこう語っている。
「『時代小説』、これは日本語のリズムで聞くべきものだ。
リズムは地口、語呂合わせ、俗謡、歌舞伎から講談、落語に至る芸能などの俗なる日本語のリズムで、
ある、ある、ある、とても全部解説しきれない。なにしろ筒井天才の作品だから」
いやぁ、その読み込みのすごいこと。筒井康隆のこじつけとねつ造とでっち上げの物語を、理路整然と切り分けていく。
劇場は筒井さんの危惧するような事態には陥らずに、まさに爆笑の渦だったのだが、これは鴨下&白石コンビだからの成果である。
1990年設立。主な作品に、大竹しのぶ「奇跡の人」、古田新太・生瀬勝久「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」、西城秀樹・鳳蘭・市村正親「ラヴ」、天海祐希「ピエタ」などがあげられる。(メジャーリーグHPより)
白石加代子「百物語」第十七夜
演出の鴨下さんが病気になられて、「百物語」が一時中断し、久しぶりの岩波ホールでの公演である。鴨下さんは「百物語」のコンセプトについて次のように語っている。「捨てるだけのものは全部捨てた、ヴィジュアル面もそうですが、第一覚えなくていいわけでしょ、だから記憶力も捨てた。相手役も捨てた。演劇の要素をどんどん捨てていった。だから僕は、演劇にはなりっこないと思っていた。ところが、そうやってどんどん捨てていっ
不思議な一座が幻のように現われ、幻のように去っていく。何もない空間から始まり、何もない空間で終わる。しかしその舞台は見る人に強烈な印象を残した。女優がハムレットやホレイショーを演じ、ガートルードやオフィーリアを男優が演じた。しかしそれが何の違和感も残さず、よりくっきりと「ハムレット」の世界を映し出し、より明確にドラマの構造を浮き彫りにした。お芝居好きの人に是非観てほしいと思います。観たこともない「
自分の愛人を絞殺しその死体から陰茎を切り取った、それがいわゆる「阿部定事件」(昭和11年)である。当時大変なセンセーショナルを巻き起こしたこの事件の「予審調書」がなぜ警察から流出したのかは未だ謎であるが、本公演では愛人とのなれそめから次第に関係を深めていき、殺しの経緯を詳しく語った部分を取り上げている。「不思議なことにエロチックな部分はほとんど印象が薄かった。それよりもなんともいえない懐かしさがあ
「モンテ・クリスト伯」という題材を選んだのは、かっこいい言葉がきら星のようにちりばめられているからだ。「モンテ・クリスト伯」というストーリーを再現するのではない。アレクサンドル・デュマが書いた言葉を、百何十年か前に書かれた瞬間の鮮度で再現したいのだ。おしゃれでカッコいい、スピーディーでスリリングなコンサートのような舞台として上演しようと思っている。