透徹した眼で時代を凝視し続けた別役実が、謡曲「隅田川」に想を得て描き出した現代社会への挽歌。
時は春……咲きほこる桜の下に、住まう者と流れる者が交錯する。
1975年、現代演劇協会付属劇団「雲」から故・芥川比呂志を中心に独立。現在に至る。演劇集団円は、演劇をこよなく愛する人々の集まりで、それぞれの立場で個人の能力を向上させ、より充実した舞台創りを目指しています。
『雨月物語』をモチーフに現代社会に迫る作品。「いかで浮木に乗りつも、しらぬ国に長居せん。葛のうら葉のかへるは、此の秋なるべし。心づよく待ち給へ」と、妻・宮木に言い残して、夫・勝四郎は旅立って行った。これが事件の発端である…
舞台は1945年、ユダヤ人夫婦の経営する小さな紳士服のアトリエ。強制収容所送りになった夫を探す女、アメリカ兵を恋人に持つ女、二人の子どもを抱えて働く女、警察官を夫に持つ女、結婚して新しい人生を歩み始める女……。みなが貧しい中で助け合いながら、けなげに生きようとしているのだった。「この戯曲は私の母のために、また多くの縫製室で私が出会った、泣いたり笑ったりしているすべての人々のために書いたものである」
萩原朔太郎が昭和10年に書いた短編小説『猫町』をモチーフにして、別役実が書き下ろした。「猫町」を旅する二人の女と、そこに生きる三世代にわたる家族の物語。
この劇は、不条理演劇における代表的な作品のひとつとされている。中村伸郎によるこの「授業」は渋谷ジャンジャンでロングラン上演された演目で、中村の代表作といえる。