ルー大柴の魅力は、日本人離れした破天荒な演技ではなかろうか。そのルーツは、高校卒業
後にヨーロッパ、アメリカをヒッチハイクした経験から来ているのであろう。
路上で馬の釘を加工して、アクセサリーを売りながらの生活はどんな役者修行よりも貴重な体
験だったに違いない。
帰国後、役者を志し勝新太郎が主宰する勝アカデミー第一期生として小堺一機らと一緒に勉
強をする。その後、アンダーグラウンド劇等を経て、関根勤の「カンコンキンシアター」出演後、脚光を浴びる。その後の活躍は誰しもが知るところである。
今回の一人芝居は、ルー大柴のこれまでの芸人としての音楽、役者、DJ司会業すべてを盛り込んだまさしく集大成となる作品になるはずである。
平成のあばれ馬"ルー大柴"を調教するのが鳳いく太。
1980年に結成された劇団游劇社の代表者として、ブラックユーモア溢れるお茶の間不条理劇を数多く、作・演出した鬼才である。1996年には「家族の神話」で第一回アリス演劇賞を受賞。
ルー大柴の知られざる魅力を引き出してくれる調教師としてはうってつけの人選である。
これまで企画制作してきたトム・プロジェクトの一人芝居とは、一味も二味も違う型破りな一人芝居の誕生を予感させるに十分な組み合わせである。
1998年に初演した時には、劇作家・シナリオライターである三谷幸喜氏が観劇し、開口一番「今年私が見た芝居の中で一番面白かった!」との評。
劇中で作ったライスカレーを奥様である小林聡美さんともども試食して劇場を後にしたというエピソードがあるように、世界演劇史上、類を見ない、舞台上で実際ライスカレーを作りながらドラマが進行していく仕掛けになっている。
終幕には場内にカレーのルーの香りが漂い、人生の哀歓を感じさせてくれる内容とあいまって、ほのぼのとした気分にさせてくれる。
演劇・舞踊・音楽など既成のジャンルにとらわれず、観る側と、創る側がお互い夢を持てる舞台を創作し、届けたい。心を伝えられる企画・舞台創造・プロデュースを目指しています。平成6年6月、現代創作劇を創造活動の柱に演劇制作を開始。以降、旬の作家、俳優を起用し毎年2,3本の創作劇を中心にプロデュース公演を企画制作。全国ツアーを展開している。平成9年、次代を背負う若き演劇人発掘のため、オーディション選抜の「新人公演」を制作。また平成12年からは海外公演も積極的に取組み、文化交流を進めている。
満月の人よ…満月の人とは天狗の意味である。神隠しは天狗の仕業と云う説がある…家人を遥か彼方に連れ去る。古今東西にある伝承だ。ここにひとつの家族がいる。かつて天狗に母親をさらわれた家族。が、父親と息子は泣かなかった…それどころか嫉妬した。どうして天狗は母親を選び、自分達を選ばなかったのだろうと。年月が流れた…天狗にさらわれた母親が帰って来た。そして今…彼らの奇妙な生活が始まる。
物語は、一九九七年に風船で海外渡航を決行し行方不明になった「風船おじさん」が題材。芝居はこの夢物語のような出来事を現実の犯罪をモチーフに数々の話題作を創ってきた山崎哲が、現代社会や今日の家庭の問題と絡めながらあぶり出してゆくもので、個性的で巧みな演技力を持つ蟹江がどう演じるか興味深い。
一般的にオジサンというと三十代から五十代後半までであろうか。五十代ともなれば男としてまだまだ花を咲かせたいと思う一方、もはやこれまで、そろそろ老後の心配でもしようかと思ったり、岐路に立つ年頃である。ここに愛しの女性を待っているようにしか見えない元気そうな五十代の三人の男がいる。・・・しかし、女性は現れない。・・・そのうち、男たちによる虚々実々の攻防戦が繰り広げられるはずだ。
TV、映画、舞台で大活躍の若手実力派俳優として定評のある佐野史郎。TV『ずっとあなたが好きだった』で"冬彦さん"なる流行語を生み出した彼の原点は舞台である。劇団シェークスピアシアター、劇団状況劇場で演技の真髄を体得し、林海象監督の『夢見るように眠りたい』で映画デビュー。その後は独特のキャラクターで、またたく間に個性派役者の仲間入り。最近、本格的に舞台活動を開始した佐野史郎。劇作家、竹内銃一郎と組ん