-2020年に世界中を巻き込んだ試練は、パフォーミング・アーツの存在意義を見つめ直す機会となりました。
人と人、国と国、ジェンダー、人種、民族、宗教の問題、そして生と死について。
これまでも私たちの目前に数多の問題がありましたが、新たな先行きの見えない状況は驚くほどの勢力で私たちを阻んでいます。
しかしながら、全世界に同じ問題が降り掛かったこのタイミングこそ、新しい芸術・表現が創生される時なのです。今こそ、これらに向き合い、作品を通して社会に強いメッセージを発信してきたアーティストが活躍する時なのです。
100年後、300年後、500年後の人々が2020年を振り返った時に大きな転換点として示されることを志し、Dance New Air 2020→21はこの貴重な瞬間のダンスを世界に発信します。
この年末、Dance New Airは様々なボーダーの問題を自身の表現に織り込んできた湯浅永麻によるプロジェクトから派生した作品を上演します。10代から海外で様々なバックグラウンドを持つダンサー・振付家たちと協働してきたことが、彼女の表現に強い信念を与えています。
プラネタリウムマシーン「MEGASTAR(メガスター)」が映し出す何百万もの星々が奏でる時間は、太陽や天気、人工の光によって目に見えないだけで、常に私たちの360度ぐるりと存在していることを気づかせてくれます。
それは「どこでもない場所(nowhere)」であり、その反面「今、まさにここに(now here)」という地点でもあります。
壮大な宇(そら/コスモス)と悠久な宙(時間/過去・現在・未来)の間に在る2人の女性の「今」を見て、眩い宇宙と忙しい日常という2つの「現実」の狭間に在る私たち一人一人の「今」に目を向けてみてください。
それは人の数、存在する物の数だけあります。
無数の星のようにー
コミュニケーションツールとしてダンスを媒介に、身体や精神的、立場の違いなどの要因で芸術に関わりにくい人々と協働してリサーチし、インスタレーションやパフォーマンスなどの作品を創作、発表する。お互いの理解を深め、これからの多様な共生社会を考える機会や可能性を発信していく事を目指す。