「Curious Fish - 奇妙な魚」は2001年、サンフランシスコ舞踏フェスティバルにて初演。その夏のエジンバラ・フェスティバル・フリンジで5つ星を獲得した。
このダンス作品は水俣病と水銀中毒に着想を得ている。1970年代、日本では多くの場所で高度経済成長が引き起こした深刻な環境汚染に見舞われていた。ひどい悲劇の中、特に河や海は奇形の魚であふれた。猫や犬や鶏はそんな魚を食べ、死のダンスを踊った。そして人間もそれを口にしたのだ。この断片的ダンス作品はヒトになれなかった魂たち、この世に生まれ出ることが叶わなかった命へのレクイエムである。
1948年京都生まれ。1979年舞踏結社「白虎社」の旗揚げに参画。86年マルチナショナル・ダンスカンパニー”桂勘&サルタンバンク”結成、89年国際舞台芸術の協同制作と研究を目的に”オフィース・パラディックス K. ”を開設、インドネシア、タイを中心に活動する。91年~94年には京都にて、日本初のワークショップ・フェスティバル「美のフィールドワーク」を開催した。2001年以後はバルカン半島、東欧を中心に文化とマイノリティーについて研究、主にボスニア、セルビア、ギリシャで舞台を制作。2018年より「京都国際舞踏祭」を開催、令和2(2019)年度「京都市芸術振興賞」を受賞。