沈黙に満ちた静寂の中、一組の男女が踊っている。
身体を伸縮させ、空間を変容させながら、沈黙の対話を続けている。
沈黙に満ちた静寂の中、音楽が生まれる。
空間を明滅させ、身体を変容させながら、沈黙を奏で始める。
沈黙と沈黙の拮抗。その間に生まれる第3の沈黙。
再び訪れた静寂の中、一組の男女が踊っている。
そこにある静寂は、かつてのそれとは異なる沈黙に満ちている。(金森穣)
Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を拠点に活動する、日本初の公共劇場専属舞踊団。プロフェッショナル選抜メンバーによるNoism0(ノイズムゼロ)、プロフェッショナルカンパニーNoism1(ノイズムワン)、研修生カンパニーNoism2(ノイズムツー)の3つの集団があり、国内・世界各地からオーディションで選ばれた舞踊家が新潟に移住し、年間を通して活動。2004年の設立以来、りゅーとぴあで創った作品を国内外で上演し、新潟から世界に向けてグローバルに展開する活動(国際活動部門)とともに、市民のためのオープンクラス、学校等へのアウトリーチをはじめとした地域に根差した活動(地域活動部門)も行っている。Noismの由来は「No-ism=無主義」。特定の主義を持たず、歴史上蓄積されてきた様々な身体表現を後世に伝えていこうとしている。
www.noism.jp
金森穣
演出振付家、舞踊家。Noism Company Niigata芸術総監督。17歳で単身渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。NDT2在籍中に20歳で演出振付家デビュー。10年間欧州の舞踊団で舞踊家・演出振付家として活躍後帰国。04年4月、日本初の劇場専属舞踊団Noismを立ち上げる。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞、第60回毎日芸術賞ほか受賞歴多数。令和3年紫綬褒章。www.jokanamori.com
Noism0
2021年「境界」を共通テーマとした山田うんとのダブルビルで発表した金森穣作品。「近くて、遠い、此処」。果たして此処とは何処か。それが定まらない限り、何が近くて、何が遠いのかを理解することはできないが、現代情報社会では地球の裏側の出来事を“近い事”として理解し、目の前で繰り広げられる出来事を“遠い事”=自らに関係のない物事と捉えていることに対する金森自身の問題提起といえる作品。
本シリーズであえて“実験”の二文字を掲げるのは、この実験が作者である私自身にとっての実験であるからに他ならない。音楽や物語など、私にとっては外部の既存のものから得る刺激によって創作するのではなく、まずは空間及び動きの法則を仮定し、そこから何が生みだされるのかを創作過程において研究/記録すること。その科学的アプローチこそが本創作(実験)の趣旨である。(金森穣)
Noism初、映像のための舞踊作品。2020年、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、世界中を取り巻く環境は大きく変化した。“公演の記録映像の配信”ではなく、この社会状況下だからこそ生まれる“映像で観ることを前提とした舞踊作品”として金森穣が創作したNoism初の「映像舞踊」。Filmyで現在有料配信中。
Noism0+Noism1+Noism2
『春の祭典』は白い病院着のようなものを着た男女。初演が2021年である以上、観客はコロナ禍を想起する。『春の祭典』は人知の及ばぬ自然にひれ伏す人間が、より弱い者を「生け贄」として選び出す話だが、金森はそこを超えて、さらに人々が共に厄災に立ち向かっていく姿まで描きだしている。