「さようなら、ご成功を祈ります」――B.R.アンベードカル博士が1936年ラホール市のカースト撤廃協会の招待に応じて準備したものの協会側が内容が耐え難いと判断し招待を撤回したため実際には読み上げられなかった演説『カーストの絶滅』への応答
南インド・ケーララ州を拠点に国内外で活躍する演出家シャンカル・ヴェンカテーシュワランと、京都を拠点に活躍する演出家・和田ながらの初めての共同演出として、2022年12月に初演された演劇作品。
日本ではガンディーほどには知られていないものの、インド憲法起草の中心人物であり、不可触民解放運動の指導者であったB.R.アンベードカル(1891-1956)が1936年に執筆し、演壇では語られずに終わった演説原稿『カーストの絶滅』。「差別」や「分断」を批判する普遍的な思索と雄弁にあふれ、人々の心を強烈に揺さぶる迫力に満ちている。インドで今も読み継がれ色褪せることのないこのテキストを、〈現代〉の眼からあらためて読み直し考察する。自分自身を映し出す鏡となる言葉を通じ、私たち一人ひとりが、自分が何者であるのか、社会における立ち位置を新たにする機会となることへの願いが込められている。
本作は令和4年度国際交流基金舞台芸術国際共同制作事業として制作されました。
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