『ボレロとヴァリエーション』は、1995年に初演された作品『ボレロ』を母胎としている。一組の男と女をつなぎ止め、あるいは突き放す時の流れに、ラヴェルの音楽「ボレロ」から聴きとった「いのちの絶えざるクレッシェンド」を畳みこんだ『ボレロ』。『ボレロとヴァリエーション』は、この『ボレロ』を踊るダンサーの実人生と『ボレロ』という舞台上の虚構の世界とが融合と離反を繰り返しながら、ゆるやかに進行していく。SPACの俳優と舞踏家の身体を出会わせ、従来のダンスの枠を踏み越えた竹内登志子の意欲作が、静岡芸術劇場で、新たな展開を見せる。
専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団。舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を目的とする。2007年に宮城聰が2代目芸術総監督に就任以来、より多彩な舞台芸術作品の創造や国際演劇祭の開催とともに、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成、アウトリーチ活動などを展開。
幻想的な世界に立ちあらわれる、勇気、希望、奇跡悪魔によって両腕を切り落とされた娘は、過酷な運命を辿り――。グリム童話「手なしむすめ」をフランスの劇作家オリヴィエ・ピィが戯曲化。演出は、アヴィニョン演劇祭への招へいなど国内外で活躍する宮城聰。珠玉の言葉、俳優の歌と演奏、折り紙のような美しい美術と衣裳、奇跡のハッピーエンド……出演は、宮城が芸術総監督をつとめる劇場所属の劇団SPAC(静岡県舞台芸術セン
「源氏物語」末摘花・蓬生の巻よもとに描かれる女たちの夢と欲望。窮乏に耐えられず次々と屋敷を逃げ出す女官たちとそのなかでひたすら光源氏を待つ末摘花の姫。原田一樹演出による『しんしゃく源氏物語』は、待つ女として集約される末摘花のイメージを、彼女を取り巻く女達の複数の幻影のなかに解き放つことによって、他者=光源氏と豊かに出会うための〈女性性〉へと変換しようというものである。野外演劇という森のなかの空間を
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