〈現代日本演劇のルーツⅨ〉
主君浅野のカタキの吉良の首をとった赤穂藩士の面々は死を待っている。討ち入りの武勇伝に沸く江戸の民、あれこそが忠義の行いマコトの武士と美談に酔う目付奉行大名たちに目もくれず。ただ幕府柳沢が命ずる切腹を待っている。が、将軍も天皇も赤穂に入れあげてしまった。柳沢もおいそれと切腹を言い出せない。薄笑いを浮かべる赤穂の者どもの目に映るのは、なつかしい故郷瀬戸内の海山、ノロノロとしか過ぎぬ今を埋める言葉との戯
舞台はとある関西地方都市。時は1月3日、4日の両日。超高層団地にある小さな空き地。荒れ放題のその場所は誰が言うともなく「こやまさんちのにわ」と呼ばれている。そこに集う団地の住人。お互いの名前も知らず職業も分からない。ただ彼らの間をつなぐのは、この場所をめぐるたわいもない噂話。団地内で今夏起きた三件の殺人事件は未だ解決をしていない。登場する住人たちは皆、死の影とセックスの匂いをはらんでいる。現実感覚
深津篤史の作品のモチーフの一つである阪神淡路大震災を描く作品。舞台は、倉庫の様にも、船の甲板のようにも見える。亡くなった友人の命日に集まる男女4人、別居中の妻を震災で失った男や別れ話の女性カップルなど、喪失感を抱えた人々が非日常の時間の中で交錯する。