その現状を見定め三井の未来を描きながら高く扇をかざし、静かに舞った三井八郎右衛門高棟変わりゆく日本の姿と行く末を思いやりながら一段と謡も声を力強く響かせた園琢麿そこには、日本の近代化に立ち向かう男たちの姿があった。
『熊楠の家』は戯曲の達人小幡欣治氏が、南方熊楠の後半生を人間味豊かに描き、第19回菊田一夫演劇賞を受賞しました。『根岸庵律女』、『浅草物語』など小幡氏が劇団民藝に書き下ろした9作品のうちの記念すべき1作目。1995年初演の本作は2017年に丹野郁弓の新演出で上演。熊楠とその家族たちに光をあてた、ユーモアあふれる評伝劇。