芸劇eyes
そこは隅田川の辺り。松尾芭蕉が、弟子を伴ってまさに旅に出立しようとしている。のちに『おくのほそ道』と題されるその旅は、舟の出航の遅れによって未だ始まっていない。舟を待つ芭蕉たちが出会うのは、ロボットの少年や正体不明の女。彼女らと過ごすうちにやがて立ち現れるのは、ある哀しい真実で—。『隅田川』『井筒』という、『伊勢物語』を媒介として接続される二つの謡曲をポリリズム的に併置した現代の会話劇。
舞台は、東京芸術劇場の隣にある池袋西口公園。24 時間、通行人など、多様な人たちのコミュニティが形成されるこの場所に、高山は個室ユニットを連ねたインスタレーションを立ち上げた。1時間500 円の料金を支払えば、24 時間の滞在も可能。個室内では高山らが行った、公園を行き交ったりそこで暮らしたりする人々のインタビュー映像が約370人分鑑賞できる。また観客は、オプションメニューとして用意されている「避