とある美容室。雑談ばかりで一向に髪を切ろうとしない美容師と髪を切ってもらいたい客の押し問答や、ある高層マンションの地下室に住む血の繋がらない移民たちの他愛無い会話。そこから覗き始めるのは力や暴力に踏みにじられてきた人々の姿。その人々が生きようともがく姿。力によって傷ついた存在が、別の力を持って報復する愚かしさを描き、非戦だけでなく、過激化するSNS上の言葉の応酬に一石を投じることを試みた。ほろびて
現代社会に生きる人間はほとんど、誰かの思想による誘導や影響を受けていて、無意識のうちに「規範/ルール」という在り方の中を生きている。街の構造や建築物ひとつをとっても思想が現れ、人々はそれを自然と受け入れながら生活していく。ゆるやかな誘導や構造設計が、支配へと変わっていく道もあるのではないか。それはすでに小さな単位で生み出されているのではないか。誰かを操作することは快楽なのだろうか、権力者はその力に