南の島。波の音・・・恋人同士の歌「トバリャーマが聞こえてくる。いよいよ女座長率いる旅の一座の幕が開く。突然眠りかけていた「あの時代」が呼び覚まされる・・・「いちゃりばちょうでー」とは出会えば皆兄弟、仲良し主義の意味。島の言葉だ。「アンマー達のカチャーシー」「朝未来」「風のユンタ」など沖縄を舞台にした作品を東演のために紡いできた謝名元慶福氏。92年の「アンマー達のロックンロール」以来の新作書き下ろし
中国の大河・長江の中流に位置するある都市。この街のもっとも平均的な2LDKの団地に、縁もゆかりもない若い夫婦と、定年退職した元小学校の女教師が同居している。長江に臨むこの団地は誰が名付けたか「団結団地」。ベランダからの眺めは一級品なのだが、背に腹は代えられずいやいや同居しているそれぞれにとって、眺めどころではない。何と言っても年の差は如何ともしがたく、生活のリズム、習慣、価値観の違いは日常的な争い
地下の安宿では、今日も朝からたわいない喧嘩が始まる。饅頭売りのクワシニャー、病身の妻・アンナを顧みない錠前屋のクレーシチ、男爵と呼ばれる男はナースチャーに茶々を入れる。宿の主人コストイリョフが女房のワシリーサの行方を訪ねに降りてくれば、こそ泥のペーペルと衝突する。行き場の無い人間達がふきだまるそんな宿に、巡礼のルカが来る。彼の啓示めいた一言ひとことが、やがて波紋のように宿の住人の心に広がっていく。