海辺に佇む「糸屋」という名の家、そこでは主人と監視人たちによって支配されている12人の女たちが、昼間は糸を売り、夜になると色を売っている。そこに現れる「繭」という名の記憶を無くした少女。彼女の存在によって、糸女たちは教えられた身の上話ではなく、自らの物語を語り始める。少女もまた自らの記憶を取り戻し、自分がここに来た訳を思い出す。母親を殺しに来たのだ。ようやく糸女たちから母親を見つけた少女が見た本当
太田省吾と劇団転形劇場による、完全な沈黙のまま極端に遅いテンポで俳優が演じる表現を追求した沈黙劇/〈駅〉シリーズの第3作。13のシーンからなり、古来のエレメント(水・地・砂などの物質)を大胆に上演空間に引き入れる着想のもとで、約50トンの砂で舞台を満たしている。点々と廃品の埋まった吹きさらしの砂場に、さまざまな人々が姿を現わし、気流のように軽やかな遊戯を演じ、死者との交渉を繰り広げていく。
太田省吾と劇団転形劇場による、完全な沈黙のまま極端に遅いテンポで俳優が演じる表現を追求した沈黙劇/〈駅〉シリーズの第2作。舞台には、生活をとりまくさまざまな廃品の堆積した山が形づくられている(高さ5メートル、裾野20メートルほど)。登場人物たちは、幾重にも曲がりくねり頂上へとつづく一本の山道を登り、あるいはそこで休息し、山の向こうへ立ち去る。13のシーンが連鎖し、出会いと別れ、生と死、過去と現在を
太田省吾が「引用」を表現上のテーマとして手がけた〈ヤジルシ〉シリーズの第1作。さまざまな種類の著作の断片などを活かし、演劇における引用の意識化・方法化を探求している。11のシーンからなり、登場人物は20人(男1~8、女1~12)。一組の男女(男1、女1)が、部屋の天井にシミのような矢印を見つけ、矢印に誘い出されるように行動を起こす。二人は数々の奇怪な光景を巡行した後、元の場所に立ち戻り、互いの存在