太田省吾と劇団転形劇場による、完全な沈黙のまま極端に遅いテンポで俳優が演じる表現を追求した沈黙劇/〈駅〉シリーズの第3作。13のシーンからなり、古来のエレメント(水・地・砂などの物質)を大胆に上演空間に引き入れる着想のもとで、約50トンの砂で舞台を満たしている。点々と廃品の埋まった吹きさらしの砂場に、さまざまな人々が姿を現わし、気流のように軽やかな遊戯を演じ、死者との交渉を繰り広げていく。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1968年、演出家・程島武夫を中心に設立。1970年より演出家・劇作家の太田省吾が主宰者となる。1970年、転形劇場工房を設置(東京都港区赤坂)。1985年、劇団の拠点を東京都練馬区に移し、稽古場と小劇場を兼ねた転形劇場T2スタジオを開設。代表作品『小町風伝』(作・演出:太田省吾/1977年初演)、『水の駅』(構成・演出:太田省吾/1981年初演)は、国内外で数多くの上演を重ね、大きな反響をもってむかえられた。1985年、紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞。1988年、解散。劇団の20年にわたる公演の記録と劇評などは、弓立社+転形劇場編『水の希望 ドキュメント転形劇場』(弓立社、1989年)にまとめられている。
太田省吾と劇団転形劇場による、完全な沈黙のまま極端に遅いテンポで俳優が演じる表現を追求した沈黙劇/〈駅〉シリーズの第2作。舞台には、生活をとりまくさまざまな廃品の堆積した山が形づくられている(高さ5メートル、裾野20メートルほど)。登場人物たちは、幾重にも曲がりくねり頂上へとつづく一本の山道を登り、あるいはそこで休息し、山の向こうへ立ち去る。13のシーンが連鎖し、出会いと別れ、生と死、過去と現在を
音楽形式(=フーガ)と精神病理の言葉への着目を特徴とする、太田省吾による〈フーガ〉シリーズの第1作。登場人物は「女1」「女2」「男1」「男2」「人の列」など18人。二人の女性(女1、女2)が、精神科の閉鎖病棟らしき場からの「退院」を翌日に控え、ちぐはぐな会話を続けている。そこにさまざまな情景が去来し、自己と他者との関係性の機微、また自己と自己自身との疎隔の意識が浮かびあがる。
太田省吾が「引用」を表現上のテーマとして手がけた〈ヤジルシ〉シリーズの第1作。さまざまな種類の著作の断片などを活かし、演劇における引用の意識化・方法化を探求している。11のシーンからなり、登場人物は20人(男1~8、女1~12)。一組の男女(男1、女1)が、部屋の天井にシミのような矢印を見つけ、矢印に誘い出されるように行動を起こす。二人は数々の奇怪な光景を巡行した後、元の場所に立ち戻り、互いの存在
太田省吾と劇団転形劇場による、完全な沈黙のまま極端に遅いテンポで俳優が演じる表現を追求した沈黙劇/〈駅〉シリーズの第1作。円環的な構造をもつ9つのシーンからなる。把手の壊れた水道の蛇口から一筋の水が細く流れつづけている。少女、二人の男、夫婦、老婆など、さまざまな人々が、水場を通りがかり、水に触れ、水を飲み、遠くを見つめ、やがてどこへともなく去っていく。太田と劇団にとって画期をなす作品であり、世界各