歌人、山中智恵子の作品「鳥首」からインスパイアされた作品で、古代の祭祀的な要素を含んでいる。ソロ中心の作品が多い中で、この作品には佐東みわこ、杉山景子が出演している。巨大な被り物を付けた山田が敢えて跛行的な歩行を続け、身体の在り方への新たな視点を模索しているのがわかる。土、水、紙などで空間を構成しつつ、身振り、行為と、踊ることの境界を越えるような振り付けが特徴的に現れている。
真綿が張られた1本の大きな枝が右手首に括られ、肩に背負われている。あたかも巨大な羽のように見える。傾いた首はゆっくりと傾き続け、静かにゆらゆらと動く。微細な振動だけが踊ることを形成していく。踊ることの衝動に真っ直ぐに向かいあったこの作品を観たニューヨーク・ヴィレッジ・ヴォイスの批評家デボラ・ジョーイットは「舞踏のジャンヌ・ダルク」と評した。山田せつ子のダンスの原点ともなる作品。
山田せつ子と神領國資のデユオ作品。丸太で組まれた櫓と堆積された泥土、置かれた石は古代の祭儀の場所のように見える。動物を模するかのような神領國資の舞踏が生贄のような山田せつ子の舞踏と交差する。笠井叡が主宰する天使館出身の二人のこの作品は、天使館が踊ることと神秘主義を結びつけた要素が深く刻まれた作品とも言える。東京公演の後、フランス、シャトーヴァロン・ダンスフェステイバルに招聘されている。