ソ連の作家ミハイル・ブルガーコフを題材とした評伝劇。ブルガーコフは、その著作が「反革命的」であるとソ連では出版禁止や上演禁止になった作家だが、その才能はスターリンにも認められており、それゆえモスクワ芸術座から生誕60年を記念したスターリンの評伝劇の執筆が彼に依頼された。本作は、このスターリンの評伝劇を書いていた時期1938~1940年のブルガーコフを取り上げ、独裁者スターリンとの関係を描いた作品。
きのう落とし忘れたPCがまぶたを刺す。肩はぼんやりとしたひかりに囲まれて、ようやく輪郭線を生んでいる。部屋にのこるけんかの痕跡が、いよいよ目の前にあらわれる。日はのぼるらしい。俺はあるはずのない水平線を、窓に感じている。それを眺めるほか、できることはあるのだろうか?第13回せんがわ劇場演劇コンクール参加・オーディエンス賞受賞作品。恋人と別れた人の部屋に、深夜友人が訪ねてくる。
せんがわ劇場の客席と舞台との距離や空気の層に、霧の立ち込めるような鬱蒼さを感じました。さらに、強固な空間には根を張ったような印象を。これまでは、ぎゅうぎゅうとした生活圏内で人と距離を取ること、取らないこと、あるいは取れないことを多く考えてきたように思います。今作のモチーフは森です。他者だけではない広い外部の世界に、どのように自分を置くのでしょう。