本作はYCAMが展開する市民とアーティストが共同で作品を制作する長期型ワークショップシリーズ「meet the artist」という枠組みのなかで制作され、市民コラボレーターのリサーチをベースとした、YCAM初となる山口市中心商店街を舞台にしたツアー形式の作品である。観客は3人一組のグループとなって20分間隔でスタートし、ツアーマップとなる専用の路線図などを手に、商店街を約1.5km/90分かけて巡った。タイトルの「山口市営P」は、山口の市民が作り上げる(=市営)、パフォーマンス(Performance)という意味と、パーキング(Parking =駐車場)、パブリック(Pubilic=公衆、公共)、パサージュ(passages= 商店街/仏)などの「P」が重ねられている。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
PortB(ぽるとびー)
2002年東京にて結成。高山明を中心にプロジェクトごとに形を変えて作られる創作ユニット。実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験的プロジェクト、言論イベント、観光ツアーなど、多岐にわたる活動を展開している。いずれの活動においても「演劇とは何か」という問いが根底にあり、演劇の可能性を拡張し、社会に接続する方法を追求している。
舞台は、東京芸術劇場の隣にある池袋西口公園。24 時間、通行人など、多様な人たちのコミュニティが形成されるこの場所に、高山は個室ユニットを連ねたインスタレーションを立ち上げた。1時間500 円の料金を支払えば、24 時間の滞在も可能。個室内では高山らが行った、公園を行き交ったりそこで暮らしたりする人々のインタビュー映像が約370人分鑑賞できる。また観客は、オプションメニューとして用意されている「避
多民族国家化が加速する今の時代に「祖国」とは、「家」とは、と問いかけたノーベル賞作家、イェリネクによる戯曲『雲。家。』。高山明は、その短いテキストを通して、現代の日本人にとっての「家」を探った。舞台上には巨大な鉄骨の足場が組まれている。その全面を覆うスクリーンに、池袋のサンシャイン60の姿、巣鴨プリズンの跡地だとは知らずそこへ集まる若者たちへのインタビュー、外国の地で暮らす留学生の母国に関する談話
東日本大震災と福島の原発事故を経て、「わたしたちの声」とはなにか、どうすればそれを聞くことができるのかという問いに、演劇的な応答が示された作品。改造保冷車の荷台に映像鑑賞ブースが設けられ、東京と福島の中学生へのインタビューが一人一枚のDVDになって並んでいる。観客は自由に鑑賞し、最後に自分自身も投票する。それぞれの戸惑いと葛藤を写し取った記録は、まだ見ぬ未来へむけたアーカイブとなった。
東京観光の代名詞的存在のはとバスを実際に使い、東京オリンピック(1964)時に活躍された伝説的はとバスガイドをゲストに迎え、現役のはとバスガイド、Port Bパフォーマーの「バスガイド」とともに東京を辿った。現在の東京の基礎は東京オリンピック(1964)で作られたという見立てのもと、東京オリンピックのレガシーを巡りながら、当時と現在の東京を「オリンピック=競争」という観点から比較検討し、東京という