宮城聰の演出による波乱万丈の一大叙事詩
片田舎の村から飛び出してモロッコ、エジプトへ、やがて貿易商として世界中を駆け回る……ノルウェー民話を素材とするこの荒唐無稽な物語が書かれたのは、ちょうど日本が明治維新の頃です。ここから宮城は主人公ペールと明治期の日本を重ねあわせ、『ペール・ギュント』を「日本」という国のアイデンティティの話へと読み替えました。舞台に散りばめられた日本的な意匠の数々――。約150年前、遠い北欧の地で創られた一大叙事詩が、宮城聰の斬新な演出によって、日本という国家を描いた物語として鮮やかに生まれ変わりました。
壮大な音楽と巧みな仕掛けの舞台装置
イベロアメリカ国際演劇祭からの凱旋上演
この作品は、出演者たちによる大編成の打楽器演奏が全編に繰り広げられる、宮城聰の「祝祭音楽劇」です。近年の宮城作品では欠かせない存在となっている、棚川寛子の壮大で胸躍る音楽が、破天荒なペールの一生を彩ります。そしてもう一つの特徴が、「すごろく」をモチーフにして創られた舞台装置。次々と繰り出される驚きの仕掛けは、観客の視線を舞台へ釘付けにします。なおこの作品は、世界三大演劇祭のひとつとも言われるコロンビアの「イベロアメリカ国際演劇祭」から招待を受け3月に上演、今回はその凱旋公演となります。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団。舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を目的とする。2007年に宮城聰が2代目芸術総監督に就任以来、より多彩な舞台芸術作品の創造や国際演劇祭の開催とともに、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成、アウトリーチ活動などを展開。
スパック祝祭音楽劇ノ原点!冒険ハ此レヨリ始マル!スッテン転ンデ マタ起キテ… 愛し愛され旅する世界!世界をめぐるペール・ギュントが、あらゆる欲望を痛快に満たす冒険劇。今からおよそ150年前、劇作家イプセンがノルウェーの民話をもとに書き上げた壮大なドラマを、SPAC宮城聰は俳優の生演奏による躍動感あふれる音楽劇に仕立てた。主人公の歩む物語は、世界へと奔走する当時の〈日本〉と奇しくも重なり…?!宮城×
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侵入者が通った後の廃墟の世界、記憶も、言葉も持たない子供たちのダンス。
不朽の名作オペラとして知られる『ばらの騎士』。その舞台が華やかな鹿鳴館時代の日本に置き換わり、宮城聰、寺内亜矢子の初共同演出と、古典から現代音楽まで自在に操る根本卓也の音楽で、軽快な演劇作品に生まれ変わる。俳優たちの生演奏にのせ、貴族たちのドタバタラブコメディが初笑いを誘う!