とある町の郊外。春とはいえまだ寒い夜。プスイギンとシルワーの二人の若者は、酒場で知り合った娘たちと飲み明かそうとこの村までやってきたのだが、娘たちに放り出されて一夜の宿を求めて歩き回るはめに。最終列車は出てしまい、寒さに耐えかねた二人はサラファーノフ家の扉をたたく。
サラファーノフ家はサラファーノフと娘のニーナ、息子のワーセンカの三人家族。他に泊めてくれる家はなく、プスイギンは思いついた出まかせの嘘をつく、「実は、自分はサラファーノフとさる女性の間に生まれた”息子”であったのだ」と……。
サラファーノフは、街のフィルハーモニーのクラリネット奏者で、生涯をかけた一曲の名作の作曲にとりかかっている-しかし、これらのことは彼の唯一の心の支え、つまりは寂しい嘘だったのだ。彼の仕事は、今では葬列やダンスの席で演奏することであり、彼の作品もまた、決して第一ページ目から先には進まない幻の名曲だったのである。
そんなサラファーノフに頼れる新しい息子が飛び込んできたのだ。はじめは疑うサラファーノフであったが、遂にはその出まかせの嘘を信じこんでしまう。それに、プスイギンはサラファーノフにどことなく似ているのだ。
やがて、物語は予想されない思わぬ方向へ進展していく……
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団創立から85年を超える老舗劇団。日本の創作劇、和物、海外戯曲と幅広く上演。
自由主義のバンダーホフ家の次女が結婚する相手トニーは、大会社の二代目社長の息子。婚前の家族顔合わせを約束するが、トニー一家が日を間違えてやって来てしまう。対照的な二つの家族が巻き起こす騒動を描く。
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吉原の三味線芸者お園は、文久三年、攘夷論と開港論の渦巻く横浜の遊郭岩亀楼に流れ着いた。そこには、同じ吉原で花魁だった亀游が病に臥せっていた。岩亀楼の通訳藤吉とお園の愛情溢れる看病で病の癒えた亀游は久し振りに店に出た。その座敷にはアメリカの商人イルウスの通訳として、想い人の藤吉がいた。亀游は悲運なこの出会いに失神し、藤吉は狼狽する。イルウスが亀游の美しさに感嘆し、身請けすると言い出すと、岩亀楼の主
