演劇という枠組みを越境して、ポップでストリートな活動を繰り広げる快快(ファイファイ)の演出家として活動してきた篠田千明は、2012年、快快を抜けてソロ活動を開始。タイ・バンコクへ拠点を移して、そこで出会った人たちとの集団制作を通して作品を発表してきた。一昨年からは、『機劇』『非劇』と題して新作を立ち上げ、”劇を機する”、“劇に非ず”という、劇の成り立ちそのものを問い直すような関心の在処を示している。
そんな篠田が新たに目をつけたのは、チリ演劇界の若手を代表するマヌエラ・インファンテの戯曲『動物園』。2016年春のKYOTO EXPERIMENTにおいて、インファンテ自身によって日本初演されたこの戯曲は、原住民を発見した科学者のレクチャーという形式をとりながら、植民地主義や「人間の展示」という主題に挑んだもの。上演芸術にとっての「他者性」とは何かを見据えつつ、篠田が本作で観客の目の前に展示するものとは?文化的背景の異なる人間の出会いを様々なやり方でコーディネート、編集してきた篠田千明が、この戯曲からどんなエッセンスを抽出するのか、その制作手腕に興味は尽きない。
※以上、2016年時点の情報
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
演劇作家、演出家、観光ガイド、学童指導員。
複数の環世界を聞き分けて空間に配置し、閉じずに整えるのが得意。
2004年に多摩美術大学の同級生と快快を立ち上げ、2012年に脱退するまで、中心メンバーとして主に演出、脚本、企画を手がける。その後バンコクに移動し、ソロ活動を続ける。2020年3月に日本に帰国、練馬を拠点とする。神保町の美学校で『劇のやめ方』という講座を担当している。