金氏徹平は、京都を拠点に国内外で作品を発表している彫刻家だが、美術という枠組みを軽々と飛び越えて、さまざまなアーティスト、スペシャリストとのコラボレーションを積極的に展開している。KYOTO EXPERIMENTへは2014年に参加。作品展示を開いた会場で、ミュージシャンらを巻きこんだ4つのパフォーマンスも見せた。
今回、発表される新作は、自身の映像作品『Tower』、彫刻作品『White Discharge』をライブアートとしての舞台表現に進化させたもの。舞台上に構造物「タワー」を立ち上げながら、多彩な領域のクリエイターたちによる制作と行為が繰り広げられる。気鋭の劇団で活躍する女優の青柳いづみ、映像作家の山田晋平をはじめ、小説家の福永信、劇作家、演出家の岡田利規がテキストを手がけ、出演にcontact Gonzoなどが加わる。金氏が多くの才能をタワーに召喚して追求するのは、それでもなお彫刻!? 造形とパフォーマンスの混淆を楽しみたい。
※以上、2017年時点の情報
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1978年京都生まれ、京都を拠点に活動。
2003年京都市立芸術大学大学院彫刻専攻修了。現在、同大学講師。日常の事物を収集し、コラージュ的手法を用いて作品を制作。一貫して物質とイメージの関係を顕在化する造形システムの考案と変容を試み、絵画、映像、写真など多様な表現形態を通して新しい彫刻のかたちを探求している。
個展「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2016)、「Towering Something」(ユーレンス現代美術センター、2013)など国内外での展覧会のほか、舞台美術や装丁も多数。
共に岡田利規の演出作品である、あうるすぽっとプロデュース『家電のように解り合えない』(2011)、KAATキッズ・プログラム2015おいしいおかしいおしばい『わかったさんのクッキー』(2015-2016)での舞台美術をはじめ、アーティスト・ユニット「2人」名義で、自身の映像作品を舞台化した『TOWER (theater)』(2017)を上演。2014年のKYOTO EXPERIMENTでは、個展「四角い液体、メタリックなメモリー」の中で4つのパフォーマンスを行った。