「ハインリヒ、お兄ちゃんが連れていってあげるよ。ハインリヒが大きくなったら、あんちゃんと一緒に月に行こう、ね。」
幼い日の弟との約束―。やがて大学へ進んだ彼は師・メストリンと出会う。
「科学技術の発達が地球を狭くする。国境をなくすために助け合える時代がもうすぐやってくる。そのための天文学が必要なんだ!」
ヨハネス・ケプラーは決意する。
あこがれの宇宙の真実を知るために、愛する家族を守るために…。
1999年度文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作受賞作。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
1964年日本新劇界のパイオニア、秋田雨雀と土方与志に戦後教えを受けた俳優・演出家が中心となって結成。今日の社会を描く現代劇の創造を進める一方、青少年のための優れた演劇の創造を追求し、2024年には創立60年を迎える。また、小劇場企画として「戦後日本演劇が生み出した秀作」の掘り起こしにも挑んでいる。現在、年間3~4回の東京公演及びスタジオ公演、50~100回の地方一般公演など一般観客を対象とした公演と、年間100回程度の学校公演や子ども劇場での公演、文化庁委託「舞台芸術による子供の育成総合事業」公演など、年間200回近く、延べ観客10~15万人という公演活動を行っている。近年は学校での公演数が減少の傾向にあるが、様々な公演の形を追求し、青少年劇場公演の充実に努めている。また、1978年には「夜の笑い」と「かげの砦」の舞台成果に対し、第13回紀伊國屋演劇賞団体賞受賞。1980年「夜の笑い」がフィレンツェ第13回国際演劇祭に招聘され参加。2002年「17歳のオルゴール」で、アシテジフェスティバル・イン・ソウルにフリンジ参加。2005年「銃口~教師・北森竜太の青春」で韓国14都市を巡演(日韓友情年記念事業)など、国際交流にも努めている。 劇団構成は20代から80代まで、劇作家・俳優に加え、制作部門や演出部門の専門家約20名も有し100名近いメンバーが年間を通して演劇活動に従事している。
太平洋戦争末期、日本の敗戦を見通しながらも対応に追われる一人の皇族と、戦況を憂い、人心を一新して本土決戦に備えようとする将軍。一方、戦争に一人息子を召集され、悶々の日々を送る下町の靴職人。この靴職人が屑屋に売り払った「伝家の宝物」をきっかけにこの三人が出会うことになるが…。戦後50年、飯沢匡追悼公演として、飯沢喜劇の代表作を上演。2019年、別演出にて再演。
17才の友子は脳性麻痺で自分で動くことはできないが、両親や兄、ボランティアで唯一の友達の静香に囲まれて平穏に暮らしていた。ある日、友子の前に光という少年が現れる。夢…、初めての恋。母の心に戸惑いが、静香の心に嫉妬が芽生えようとしていた。「命」、「生きること」の大切さを描き、2005年まで合計440回の全国公演を続けた作品。2002年、アシテジ・フェスティバルinソウルにフリンジ参加、世宗文化会館で
軍国少女であり、軍国の小学校教師であった自分への深い憤りと懺悔。「教育」への限りない理想と情熱を、北森竜太の青春に託して書き上げた三浦綾子の傑作長編小説「銃口」を舞台化。2007年まで全国巡演を続けるとともに、2005年には韓国国内14か所24回の巡演も行った。
この作品は、川崎の下請けの零細工場の経営者の安全管理無視から起こった災害事故、数名の労働者の焼死という悲劇を、背景にしています。劇はその前後の期間にわたり、焦点はこの工場で働く青年労働者の生き様、彼らの悩みや仲間同士の関係、愛情、対立、連帯、失望、希望に置かれています。また、彼らの使用者側、街でふれあう大企業を含む他企業の労働者、夜の歓楽街の息づかいなども描かれています。現代を反映して屈折した影を