『「さ迷える愛・序破急」三部作』
『「さ迷える愛・序破急」三部作』
2018年に初演された、「さ迷える愛・序破急」三部作の第一作『翠晶の城』は、自己の要塞化にも他者との開かれた関係性にもつながるメタファーとしての「城」をモチーフにした作品。エキストラ出演者5名が参加。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
主宰・金滿里により1983年に大阪を拠点に創設され、身体障害者にしか演じられない身体表現を追究するパフォーマンスグループ。
「身体障害者の障害じたいを表現力に転じ未踏の美を創り出すことができる」という着想に基づき、一貫し作・演出・芸術監督を金滿里が担い、自身もパフォーマーとして出演する。金滿里自身もポリオの重度身体障害者である。
『「さ迷える愛・序破急」三部作』
コロナ禍の中で三度の延期を経て、今年11月に初演された「さ迷える愛・序破急」三部作の完結編『心と地』の舞台はなんと宇宙。発達し続ける資本主義と強化される管理社会の行く末を問うSF作品です。
白い巨大な球体を囲む円形の舞台で、水に渇きを癒され、水で汚れを清め、愉快な宴会に興じる者たち。やがて旱魃がやってきて、雨乞いの踊りを捧げる。すると球体のてっぺんから水が吹き上がり慈雨となって降り注ぐ。歓喜した群衆は、しかし恵みをもたらしてくれた球体をバリバリと破壊してしまう。
人々の喜びや哀しみ、そして生きる権利を歌い、世界から愛されたチリのアーティスト、ビクトル・ハラ。巨大な暴力に抗しない強い意志で、勇気と希望を歌い続け、1973年のクーデターにより虐殺された。民衆の生きる力と普遍的な魂。彼が伝えたものは何だったのか。同じ芸術家として、この問いにビクトル・ハラの名曲「La Partida」のライブ演奏を背に、地域から這い出てきた公募障害者エキストラの面々と共に取り組み
主宰の金滿里が、「7・26 相模原やまゆり園19名障碍者大虐殺事件」をきっかけに、自らの障碍児収容施設での体験をもとにして生み出した作品。障碍者施設の孤独と恐怖の象徴である「アボタカの足」が、閉じ込められた空間から脱走し、太古の森へとに逃げ出す様を描くことで、生き方に「生産性」のタガをはめてくる世の中に対し、身体表現をもって、答えを提示している。