本作品は、 戦争で多くの国民を死に追いやった日本の 指導者たちの責任を問う、「戦争責任 問題」 扱い ますが、 登場人物たちが 使命を忘れるほど演劇 の稽古に のめり込んでしまう滑稽さ 、 人物の正体や思惑が徐々に明らかになっていくスリリン グさ、劇中歌「すみれの花咲く頃」の歌声があたたかな感動を呼び起こす様子など 、 そ の 根底 に あ る の は 時代を越えた演劇讃歌です。
私たちは、人を泣かせたり、笑わせたりしている会社です。
座付作者井上ひさしに関係する作品のみを専門に制作、上演しています。
1983年1月に創立し、84年4月『頭痛肩こり樋口一葉』公演で旗揚げ。
以降、新作、再演、こまつ座旗揚げ以前の井上作品も織り交ぜて、出演者・スタッフとも作品ごとに依頼し、その作品だけの一座を組むプロデュースシステムをとり、年平均4~6作品(200~250ステージ)を上演し続けています。
進駐軍の占領下で、今日を生き抜くために人びとは闇の売り買いに必死だった。親を亡くし、子を亡くし、夫を亡くし、友を亡くした人びとが、世の中の新しい枠組みの中で、無我夢中に生きていた。ひとり息子の健太郎を戦地に失った愛敬稲荷神社の神主牛木公磨も、今では近くに住む五人の未亡人たちと寄り合って、闇米の調達に奔走している。そんなある夏の日。思いもかけず、死んだはずの健太郎が愛敬稲荷神社にひょっこりと帰還する
盲目で生まれた杉の市は、盗みや脅しは当たり前、ついには人を殺めてしまう。殺し殺してまた殺し、その手を血に塗れさせ、悪の限りを尽くしながら、己の身と金の力を頼りに、江戸の盲人の最高位である検校にまで登りつめる。東北の地から江戸へと流れてきた少年は、運命の大きな流れに流される―。二代目藪原検校の、その悪行三昧、闇の世界の一代記。「来世は目明きに生まれてくるぜ。そうして、おっかさんの顔をしみじみと拝ませ
昭和15年の浅草。小さなレコード店「オデオン堂」に4人の家族と二人の間借り人が仲良く暮らしていた。しかし、陸軍に入隊していた長男の正一が脱走して「非国民の家」扱い。追手がかかり憲兵が住み込みで見張りをする始末。ところが長女・みさをがたくさんの傷痍軍人と交わしてきた文通ハガキの中から選んだ源次郎と結婚するにいたって、今度は一転「美談の家」に。ジャズ(=敵性音楽)が好きで歌謡曲(=軟弱な音楽)が好きな
井上ひさしが描く、漱石的学校での不思議なひと時。晩年の漱石に多大な影響を与えたと言われる「修善寺の大患」。作風のみならず本人の死生観にまで影響を与えた三十分間の意識の空白の中、「坊っちゃん」「三四郎」「それから」「薤露行(かいろこう)」「こころ」などの多彩な漱石作品を思わせる登場人物たちが、各々が抱える「どうしようもない淋しさ」を埋めるために動き出す。"夏目漱石"評伝劇が鵜山仁の手によりこまつ座初