川口隆夫ディレクション企画「舞踏 ある視点」
川口隆夫ディレクション企画「舞踏 ある視点」
Tokyo Real Undergroundでアーティスティック・ディレクターを務める川口隆夫が振付・演出を手がけた新作。舞踏家・吉本大輔とコンテンポラリーダンサー・酒井直之。数世代を分かつふたりが、迷宮に棲む怪物を通して新たなダンスの地平を切り拓く。映像作家・鈴木章浩は単なる舞台公演の記録ではなく、’60年代のアンダーグラウンド・フィルムを思わせる映像世界へと誘う。
―迷宮の奥深く暗いところで息を潜めて待っていると聞こえてくる足音。嗚呼、お待ちかねのモナムール。
逸る心を抑えきれず、走り寄り抱き合い手に手を取って歌い踊る。ジュテーム、ジュテーム。
その足音が実は自分のものだったとは気づかない。―(川口隆夫)
大野一雄舞踏研究所のアーカイヴ活動を母体に、2012年として任意団体として発足し、2016年に特定非営利活動法人として設立した。大野一雄アーカイヴのノウハウとネットワークを拡張し、日本に横断的なダンスアーカイヴを構築することを目指して活動している。
レクチャーパフォーマンス
ダンスがなぜ体育なのか、なぜ女子=ダンスなのかなど、体育教員の経験から感じた疑問を問い直すレクチャー・パフォーマンス。やはり体育教員だった大野一雄を軸に、幻のラジオ体操等に触れながら日本のダンスの来歴を振り返る。Dance Archive Project2016にて初演。
尾竹永子ソロプロジェクト「A Body in Places」
2014年から、尾竹永子は歴史家・写真家のウィリアム・ジョンストンとともに福島を訪れ、各地で無観客パフォーマンスと撮影を行なった。本作は、5回の旅で撮影された写真をまとめた約60分のビデオ映像を劇場の壁面に映し出しながら、尾竹がパフォーマンスを行なったプログラムを25分に編集したダイジェスト。彼女の身体を通して、震災後の福島の現在、歴史と環境という大きな問題が私たちの前に立ち現れる。
土方巽の文学作品『病める舞姫』を、土方の稽古を受けた田辺知美と、2013年から大野一雄を踊るようになった川口隆夫が読み解き、「誰もが知らない向こう側の昏さ、甦えりめいた始まり」へと誘う。初演は2012年5月。舞踏アーカイヴプロジェクト参加。
2017年3月神戸にて初演。戦争に反対するダンスとして高い評価を受けたクルト・ヨースの作品「緑のテーブル」(1932)から想を得て、原作の振付や音楽を一切使わずに新たな作品構築を試みた。古典作品が今を生きる私達に持つ意味を問う。