君はきっと、ひとりじゃない。これから先はどうかわからないけれど。
六送会。そう呼ばれていたのは、深土小学校の本年度卒業生たちを見送る、学芸会のことである。4年B組は、授業で学んだ『スイミー』のお芝居を発表するため、練習に励んでいるはずだった。ある日、ある児童の母親が深土小学校を訪ね、訴える。
「先生、どうしてうちの子がスイミーではないのですか?」
不登校になる児童。度を超えた抗議に、休職に追い込まれる4年B組の担任。4年B組『スイミー』の稽古場で、いったいなにがあったのか。
ここに居ない児童と担任をめぐり、皆の証言が食い違い、困窮を極める時、宙 ( そら ) から演劇の精霊が舞い降りる…
2011年京都にて旗揚げし、現在、東京・調布市仙川と京都の二拠点で活動中。大きな世界とちっぽけな個人のズレ、または人間どうしの軋轢や和解といった、普遍的な(どうしても私たちの頭を悩ませる)テーマを、ひそやかな会話とエモーションの爆発が同居する戯曲と演出で紡ぎ出す。やさしいけれど挑発的、あかるいのに底の見えない作風。