小野寺修二演出による新規国際共同制作『TOGE』。マレーシアから李人欣、台湾から劉睿筑を迎え、新しい身体言語創作を目指し、KAAT神奈川芸術劇場にて2021年12月初演。
ジョージ・オーウェル著『動物農場』から着想を得た本作品。同著では、人間に支配・搾取されていた動物が人間を追払い自治を始めるが、最初皆平等であったものの、いつの間にか仲間の中から支配者が現れ、他への支配が始まった結果、人間対動物と同じ構図が、動物のみの世界でも繰り返されてしまう。
今回の『TOGE』では出演者を5人の女性とし、「置かれている場所に気付いていない人たち」を描く。支配者は登場せず、原作の動物のように状況に翻弄され右往左往する人々が舞台にいる。ただ最後まで、支配者となり他を圧する者は現れず、5人は自分の足で立っている。自ら基準を持ち幸せを定義できれば、権力や構造に人生を左右されない、置かれている場所・状況を凌駕できるのではないか。無言劇として描く。
本作は令和3年度国際交流基金舞台芸術国際共同制作事業として制作されました。
2008年、小野寺修二セルフユニットとして設立。身体性に富んだ演劇作品を創作し、マイムをベースとした独自の演出は、世代を越えた注目を集めている。国内での活動のほか、海外公演など多数。また、小中学校巡回公演や高校の芸術鑑賞会など、次世代へのアプローチにも積極的に取り組んでいる。野外や美術館、アートフェスティバルなど、劇場内にとどまらない場所でのパフォーマンスも多い。
本作は、カンパニーデラシネラとリー・レンシン(マレーシア)、リウ・ジュイチュー(台湾)が協働した前作『TOGE』(2021 年12 月/KAAT 神奈川芸術劇場)(https://youtu.be/7SCoBE1OmxU)の出演者に、チョン・ヨンド(韓国)が新たに参加メンバーとして加わり制作されたワークインプログレス公演。新作のリサーチとなる10日間のワークショップを経て、東京で成果発表公演として
アルベール・カミュの未完小説をモチーフにした、尊厳と誇りと家族についての物語。カミュの母親はろう者だったそうです。今作では、ろう者俳優、數見陽子さんを迎え、家族に向けたカミュの視線、その心に通底する信念を描きます。また、三味線桂小すみの生演奏の躍動感によって身体の独自性が引き出され、無言劇で紡ぐ内省する視線、観客が各々のイメージを投影しやすい余白があり、独特な味わいの作品となっています。