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内田百間の同名小説より、予言する神話的存在、件(頭人牛体)をカセキが体現する。生まれて3日で死ぬ運命、人間だった時の記憶と感情を反芻し、予言を求める人間達に追われ、囲まれ、待たれる。空気は期待と切望に濃厚になり、いつか観客を窒息させる。恐怖の構造、人間の欲望、愚かさを簡潔な動きと演出で、時にグロテスク、時に滑稽に表現する。誰が次の件になるのか。恐怖は体を揺さぶり突き抜ける。1998年初演。
戦争の惨禍を通し人間の悲喜劇を描いたゴヤの版画から着想を得た「サイレント・オペラ」。ヒトラー政権下のユダヤ人迫害を題材に作曲されたライヒの「Different Trains」が使用され、踊り手達は椅子に縛られたままで、運命は変えられないことを暗示する。終わらない惨劇に目を向けるためにも、こういう作品が必要だと古川が指摘している。Act 1:朝(使用曲:スティーヴ・ライヒ「Different Tra
マーク・アテシュと共同制作した、カセキユウコのソロダンス。日常から非論理的で奇妙な出来事を浮かび上がらせる作家、内田百閒の同名物語に端を出発点とする。百閒はその独特な視点で、シンプルなエピソードから平凡な構造に裂け目を見つける。異界への扉は、一方には不安を与え、他方には奇妙なユーモアを出現させる。カセキはこの状況を不条理とユーモアとによって暴き出し、簡明に自己と肉体をこの世界に存在させる。1998