ある夏の日、<友>が<私>を訪ねてくる…登場人物はその二人だけ。長い長い別れ話が始まった。■ものがたり蒸し焼きにされそうなある夏の日。畳の上で部屋着姿のまま床にはいつくばる「私」の前に、高校時代の同級生「友」が現れる。話を聞くと、自転車に乗ってずいぶん遠くから走ってきたという。久しぶりの再会に喜ぶ二人は、じゃれあうように会話を楽しむ。しかし、ふとしたはずみで出る「友」の言葉は、二人の間には埋めるこ
「ここは新世界のはずれです。 しょうもない串カツ屋の娘がうちです」 「きて屋」に集うおっさんたちと、切り盛りするマナツ。 通天閣を見上げれば、飛びかうドローンの群れ。 野良ロボットはうろつき、炊飯器は将棋を指す。 飛田更地はVRの楽園。そして来てけつかるシンギュラリティ…。 テクノロジーとおっさんが切り結ぶ、SF人情喜劇。 「新世界コメディ」、大阪弁で送りまっさ。
香港にそびえる魔窟・九十九龍城。不法に増改築が重ねられたその建造物には、あらゆる欲望が渦巻き、不平等と悪がはびこっていた。ひしめく屋上民と看板民。無許可の肉屋。パチモン工場。インチキなショーパブ。黒社会。内偵を命じられた刑事・ヤンとリーは、遠隔監視システムを使って覗き見るも、やがて深入りし…。物語がオーバーフローする夜、世界の秘密がめくれだす。2年ぶりの本公演は、異常密度の魔窟劇。
屍市立・躯死骸高校。新校舎で発覚した耐震偽装により、たった4人の底辺クラスにあてがわれた旧校舎には、77の不思議があった。ギョエー!どこからともなく落ちる黒板消し、壁のあちこちから出る手、幽霊水泳部員、走り回る人体模型、勝手になるピアノ。疑いようもなく量で攻めてくる怪異に、教師たちはしかし、授業をすべく立ち向かう。腐っていた生徒たちもやがて、熱意にほだされていく。科学とオカルト、歴史の教科書と地縛
夏。サマー。でもって、タイムマシン。とある大学のSF研究会の部室にて。「昨日に行って、壊れる前のリモコンを取ってくると!」「そして、クーラーを復活させると!」昨日と今日の因果を巡り、辻褄あわせの大往復。20周年を迎えたヨーロッパ企画がおくる、13年ぶりのブルース。
中世、東欧。王権のかつての威光は翳り、諸侯が跋扈する混迷の時代。城では絶えずそこかしこで、建てましにつぐ建てましがなされている。そんな城で、パーティに戻る道すがら、迷ってしまった貴族と従者。歩けども歩けども、元の道には戻れず、見慣れぬ回廊が続くばかり。高みの見物の新興貴族、足手まといな辺境伯。不案内なメイドに、不遜な物乞い、通りすがる道化。はては城の秘密や、世界の危機までもが、壁のむこうに見え隠れ
1930年代のパリ、モンマルトル。セーヌ川で死んだ、不遇の画家のアトリエ。遺されていたのは、夥しい数のだまし絵。それらを処分しに来た、大家と周りの人々。児戯と嗤われ、時代ずれを哀れまれながら、時間の闇へと葬られゆく画家の魂が、しかし妙に、出てこようとしてる…!?世に放たれた異貌の奇劇、だまし絵コメディ。
巨大カンパニーのビルに呼ばれた、ベンチャー企業の社員たち。もらったIDカードを首にぶら下げ、奥へ進むと、待っていたのは、重厚なゲート。襟を正しつつ、カードをかざしてゲートを開ければ、そこには上へと続く階段が。そして登った先には、2つ目のゲートが待ち受けていた。現れないCEO、現れ続けるフロア。クイズを解き、罰をくらい、ホットドッグを食べ、他社と出し抜きあい、あるいは協調しながら、ビルを登りつづける
数十年に一度、地球に接近する小惑星。そこからやってきた、コンクリートブロック型の飛行物体。乗っているのは、身長数センチのツアー客たち。「これ、ホッチキスですよねえ!」「カッター折りますんで、足で押さえててください」「消しゴムのソファー、弾力いい感じですねえ!」「マジックインキ、いい匂いがする...!」ご主人の帰宅も厭わずに、机の上の観光旅行。ハイポリマーでBBQ、夜には満天の折り紙ミルキーウェイ。