時は幕末、舞台は秋田・角館。町の人に"鬼ンこおばこ"と呼ばれる娘、唯がいた。髪はボサボサ、ソバカスだらけ、真っ赤な顔…、年頃になっても男の子のような身なりで野山を駆けまわる。唯は、おさく婆っさがどこからともなく拾ってきた孤児たちと家族のように「鬼壁の岩戸」と呼ばれる在の荒れ地に、仲良く暮らしている。さてお城下に、古くからの大地主で「船越」という造り酒屋がある。ここに佐太郎という一人息子の跡継ぎがい
わらび劇場民話ミュ-ジカル第3弾「山神様のおくりもの」。近代人が失ってしまった「自然との協調性」がテ-マです。 「人間世界」とその背景にある「自然」の大きな力の中で、若い二人の恋愛と結婚を縦軸に、いのちの循環・輪廻を尊ぶ雄渾な"マタギの心"をベ-スに、遠い祖先につながり未来に輝く魅力を新しい「ファンタジ-の世界」としてお届けします
電信柱、街灯、ポリバケツ・・・その上に登場するホームレス風の爺さんとばあさんが、ダンボールを引きずって現れるのだから、もうこれは完璧な別役実の世界。路上でのコント風の会話がいつの間にか愛のゲームのような濃密で危険な関係になっていく・・・。何かを確かめるかのように語り続ける老人二人の孤独が美しく、哀しい。95年6月木山事務所初演で凍みるような感慨を呼んだ。
古典的先住民姿の少女が語る、いつとは知れない、しかし先祖代々伝えられてきた物語ーその年は天候不順で食糧の蓄えができないまま厳しい冬がやってきた。危機に瀕した集団のリーダーは、口減らしのため、お荷物となっていた二人の老女を棄てる決定を下す。それは老人を敬い大切にする伝統に背く決断であった。彼らは食糧を求めて旅立っていく。棄てられた二人の老女は、悲しみ、恨み、怒り、そして絶望の淵に立たされる。しかし死