女がいる。女は壊れてしまったのだった。あるいは、壊れゆこうとしている。または、いま壊れつづけている。女は〈彼女〉について語りはじめる。徹底的に壊し、そしてまた壊された〈彼女〉についての話を。そして、あなたたちはそれを見る/聞く。消費と暴力。労働と身体。そして、キャラクターと人間。虚構と現実は別のものなのか?2019年に5ステージだけの上演ながら好評を博した一人芝居を、ダブルキャストで再演。
アルベール・カミュの未完小説をモチーフにした、尊厳と誇りと家族についての物語。カミュの母親はろう者だったそうです。今作では、ろう者俳優、數見陽子さんを迎え、家族に向けたカミュの視線、その心に通底する信念を描きます。また、三味線桂小すみの生演奏の躍動感によって身体の独自性が引き出され、無言劇で紡ぐ内省する視線、観客が各々のイメージを投影しやすい余白があり、独特な味わいの作品となっています。
ある日本の街に大きな爆弾が落とされました。数年後にはその土地の遺構を巡る、ダークツーリズムとしてのバスツアーが実施されるようになりました。さらにそれから時間は流れ、その土地の周辺にはいくつもの飲食店や土産物屋が出来てすっかり観光地となりました。悲劇は完全に風化したのでしょうか。ただ、当時のバスツアーに参加した一人は最近、安楽死を決めたそうです。
2018年に初演の「牛乳とハチミツ、ゆれて三日月を喰みる」のリクリエーションと、その後日談である『珈琲にシラップ、時を選ばない無常と風』の二本立て公演。とある地方都市にある家族経営のカフェ「ヒモスガラ」で繰り広げられる家族の少し不思議な話。