電信柱、街灯、ポリバケツ・・・その上に登場するホームレス風の爺さんとばあさんが、ダンボールを引きずって現れるのだから、もうこれは完璧な別役実の世界。路上でのコント風の会話がいつの間にか愛のゲームのような濃密で危険な関係になっていく・・・。何かを確かめるかのように語り続ける老人二人の孤独が美しく、哀しい。95年6月木山事務所初演で凍みるような感慨を呼んだ。
三島由紀夫没後五十年 プラス1
愛が見せる地獄・芸術という名の狂気。この世ならぬ様を描かんとする絵師の執念に、美しき乙女は命を差し出し業火の贄となる。幼年期の三島由紀夫が芸術と美への感性を育む素地であった歌舞伎。そのオマージュである「三島歌舞伎」の第一作『地獄變』、極彩色の世界を花組芝居が総力を挙げてネオかぶきへと昇華する!時は平安の頃。絵師・良秀は、天下一の腕前だと都で評判を得ていたが、高慢で変わり者だと噂される男だった。彼に