三島由紀夫没後五十年 プラス1
三島由紀夫没後五十年 プラス1
愛が見せる地獄・芸術という名の狂気。
この世ならぬ様を描かんとする絵師の執念に、美しき乙女は命を差し出し業火の贄となる。幼年期の三島由紀夫が芸術と美への感性を育む素地であった歌舞伎。そのオマージュである「三島歌舞伎」の第一作『地獄變』、極彩色の世界を花組芝居が総力を挙げてネオかぶきへと昇華する!
時は平安の頃。絵師・良秀は、天下一の腕前だと都で評判を得ていたが、高慢で変わり者だと噂される男だった。彼には溺愛する娘・露艸(つゆくさ)がおり、その美貌と優しい性格を見初められ、当時権勢を誇っていた堀河の大殿の屋敷へと上がっている。良秀は再三、娘を帰して欲しいと願うが聞き入れられず、また、露艸も孝行心から大殿の寵愛を受け入れぬまま。父娘の頑なな態度を、大殿も苦々しく思い始めていた。
加えて大殿が良秀に命じた、「地獄變」の屏風絵が一向に仕上がらないことも不興の増す一因に。業を煮やした大殿は、言い訳をするようならば切る覚悟で良秀を呼び出す。
大殿の腹積もりを察した露艸は、色よい返事をするよう参上した父を諭すが、良秀は聞く耳を持たない。
大殿の前で良秀は、「燃え上がる牛車の中で焼け死ぬ艶やかな上臈の姿を描きたいが、どうしても描けない。大殿の権勢により、実際に車の中で女が焼け死ぬ光景を見せて欲しい。でなければ絵は百年待っても未完成だ」とうそぶく。
怒りを隠さぬ大殿が、良秀に死を申し渡すため盃を取らせようとした刹那、間に入った露艸がその盃を飲み干し、自らが上臈役を引き受けると言い放つ。
狂乱の体で事を止めようとする良秀をよそに、粛々と準備が整えられ、覚悟の露艸を乗せた牛車に火がかけられる……。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1987年、俳優・演出・脚本を兼任する加納幸和を座長とし、日本大学藝術学部出身の役者を中心にして、設立。
庶民からは高尚で堅苦しくなってしまった“歌舞伎”を、かつての芝居小屋のように、誰もが気軽に楽しめる最高の娯楽に!と「かぶきの復権」を目標に活動を始める。
物心付く前から、“歌舞伎”という言葉を知っていたという加納の、豊富な歌舞伎の知識と、枠にとらわれないユニークな発想、「なんでもあり」の精神が、古今東西の音楽美術を取り込み、独特の世界を作り上げた。俳優は男性のみ。パワーの有る個性豊かな俳優陣が「女形」も演じる。
この奇妙で、美しく、魅力に溢れた「加納ワールド」を、自ら“ネオかぶき”と称し、当時の「現代用語の基礎知識」にも掲載された。
上演演目の題材は、歌舞伎だけにとどまらず、翻訳物、現代物、漫画原作物など多岐にわたる。特に、泉鏡花作品は高い評価を得ている。また、傾向は多岐にわたっているものの、どの作品も他団体で上演しているものとはまったく違う「これが花組芝居の作品」という明確な色を持っていることは、大きな特色と言える。
1996年には、『天変斯止嵐后晴』で、アメリカ公演を敢行。1999年の帝国劇場進出(『西鶴一代女』主演・浅丘ルリ子)を皮切りに、大劇場にも活躍の場を広げた。国内外、小劇場から大劇場まで、型にはまらないグローバルな活動を心がけながら、歌舞伎表現の豊かさを現代演劇の土壌に生かすべく、創作活動を続けている。
歌舞伎演目「東海道四谷怪談」を元に、本作が「仮名手本忠臣蔵」のサイドストーリーであることから、この2本を綯い交ぜにし、歌あり踊りありフィナーレあり、ジャズナンバーのミュージカル仕立てで上演。日本の夏の風物である四谷怪談が、忠臣蔵の討ち入りとクリスマスの喧騒で、邪魔もの扱いされる幕切れは花組芝居ならではで、劇団屈指の名作である。塩冶判官が高師直を殿中で刃傷に及び、塩冶家は断絶。浪人となった民谷伊右衛
日本の現代演劇ポスターデジタル化プロジェクト2023
150点の現代演劇公演のポスターをアーカイブ。公演のキービジュアルがデジタル展開され難い、1960年代から80年代を中心に、紙で現存するポスターをデジタル化。ポスターのセレクションは、1960年代以降の舞台芸術系のポスターを収集・保存、これまでも研究や数々の展覧会に協力する等、演劇公演のポスターに造詣が深い、ポスターハリス・カンパニー社代表の笹目浩之氏が担当。
日本の現代演劇ポスターデジタル化プロジェクト2023
150点の現代演劇公演のポスターをアーカイブ。公演のキービジュアルがデジタル展開され難い、1960年代から80年代を中心に、紙で現存するポスターをデジタル化。ポスターのセレクションは、1960年代以降の舞台芸術系のポスターを収集・保存、これまでも研究や数々の展覧会に協力する等、演劇公演のポスターに造詣が深い、ポスターハリス・カンパニー社代表の笹目浩之氏が担当。
(フライヤーより抜粋)近松が、南北が、黙阿弥が、天狗の魔風にキリキリ舞い。