原民喜訳による、スウィフトの「ガリバー旅行記」を元にしたオペラ『ガリバー』。ヒロシマで被爆した原民喜は、1951年線路に身を横たえ自死する直前にこの「ガリバー旅行記」をこれからの時代を生きる若い人たちに向け絶望ではなく希望の文学として再話した。人間の愚かしさによって戦火が絶えず、ますます拝金主義がはびこる昨今、現代を予見していたとも思われるスウィフトと、若い人たちに希望を託した原民喜の願いをうけ、
一人の男が地球という悪夢の世界に堕ちてきたその男には、教育という名の拷問が待ち受けている
輝かしい命を持った13歳が自らの手でその命を絶った。誰もがその事件の当事者である。空を飛ぶ翼を、銃弾で撃ち抜かれ、二度と飛べなくなったノガモとは、夢見る力を、現実という銃弾で粉々にされしまった人間のことである。それでも彼らは生き続ける。人間を見に来て欲しい。人間ほど面白いものはないのだから。
「モンテ・クリスト伯」という題材を選んだのは、かっこいい言葉がきら星のようにちりばめられているからだ。「モンテ・クリスト伯」というストーリーを再現するのではない。アレクサンドル・デュマが書いた言葉を、百何十年か前に書かれた瞬間の鮮度で再現したいのだ。おしゃれでカッコいい、スピーディーでスリリングなコンサートのような舞台として上演しようと思っている。
ミュージカル
「家なき子」は、エクトール・マロの代表作。日本でも小説のみならず、アニメや漫画、絵本など多くの人々に浸透してきた。捨て子だったレミが親を探して旅をする貴種流離譚。栗田芳宏の力強い演出と宮川彬良の親しみやすい魅力的な曲、ただ単に子どもが大勢出ている「子どもミュージカル」ではなく、大人も楽しめる完成度の高いミュージカル、出演者60人余、セットも大変大掛かりでスペクタクルな作品として、りゅーとぴあ開館5
岸田國士戦争劇集
日本の近代劇に多大な影響を与え、今も「演劇界の芥川賞」と呼ばれる戯曲賞にその名を刻む劇作家・岸田國士。戯曲や評論を数多く執筆し、文学座の創設にも携わるなど演劇界に大きな影響を及ぼしました。岸田國士は戦争をどのように見ていたのか? 岸田の「戦争劇」を並べて上演することで、岸田と当時の日本人が戦争をどのように見ていたのか浮かび上がらせます。
岸田國士戦争劇集
日本の近代劇に多大な影響を与え、今も「演劇界の芥川賞」と呼ばれる戯曲賞にその名を刻む劇作家・岸田國士。戯曲や評論を数多く執筆し、文学座の創設にも携わるなど演劇界に大きな影響を及ぼしました。岸田國士は戦争をどのように見ていたのか? 岸田の「戦争劇」を並べて上演することで、岸田と当時の日本人が戦争をどのように見ていたのか浮かび上がらせます。
福島三部作 第二部
福島第一原発が建設・稼働し、15年が経過した1985年の双葉町。公金の不正支出が問題となり、20年以上に渡って町長を務めてきた田中が電撃辞任した。かつて原発反対派のリーダーとして活動したために議席を失った<穂積 忠>(孝の弟)は、政界から引退しひっそりと暮らしていたが、ある晩、彼の下に2人の男が現れ、説得を始める。「町長選挙に出馬してくれないか、ただし『原発賛成派』として……」。そして1986年、
某県某市の「広庭」地区。住民による行政サービス代行が始まって数年。さまざまな事情を抱えた住民委員全員が集まって今日、「この先、広庭地区を存続させるか消滅させるか」という重要な問題の結論を出すことになったのだが、多数決の結果はなんと、全員が「消滅賛成」。なぜ住民委員は全員が消滅に手を挙げたのか。――いよいよ人口減少社会に足を踏み入れた日本。もはやこの「自治体消滅」の問題は絵空事ではない。これまで当た
殺人事件の犯人は双子で、主犯格の弟「幸司」は死刑、補助役の兄「憲司」は無期懲役がそれぞれ確定する。刑務官たちは死刑囚となった幸司と日々接するうちに、「死刑の在り方」について自らに問い直していく。というのも死刑囚となった幸司は驚くほどの真人間へと更正していくのだが、無期懲役の憲司は自分の罪に真摯に向き合っているとは言い難かったからである。刑務官たちの心は揺れる。死刑は廃止すべきと考える者、刑が確定し
古城十忍の新作書き下ろし。男は「ある反政府集会」の中心的人物が自分の娘の恋人であることを知り、戸惑いながらもその恋人の日々の行動確認(行確=コウカク)を開始する。高校教師を務めるその娘はSNSによる誹謗中傷を受け、個人情報までもがネット上にさらされてしまう。そんなある日、男は自分自身が見知らぬ何者かに行確を受けていることに気がつく……。そして娘は、誹謗中傷の発端が意外な人物であったことを突き止める
フリージャーナリスト「市井宗高」が紛争国に入り、消息を絶つ。母「順子」は無事を祈りつつ、毎日お百度参りをし、鶴を折る。宗高の友人で新聞記者の「司由起人」は順子に取材を重ねるが、宗高の妻「実花」は「これは自己責任だから」と言いだし、取材を拒否するよう順子を諫める。そんな折、テロ組織に拘束された宗高の無惨な姿がニュースで流される。一方、由起人には30歳過ぎてなお非正規雇用で苦しい生活を続ける弟「真奈人
ドキュメンタリー・シアター
ドキュメンタリー・シアター。今から11年前の2010年、宮崎県下に「非常事態宣言」を発令させた家畜伝染病「口蹄疫ウイルス」の猛威。本作は、その感染爆発に翻弄された関係者・約90人にインタビュー取材を行って得た証言だけで戯曲を構成。その生々しい声は現在、世界を脅かし続けている「新型コロナウイルス」と闘う今の私たちの胸にも鋭く突き刺さる。これはかつて、宮崎県域でウイルスと闘った人々の切実な「心の叫び」