近未来の架空の戦時下、南方の島に囚われた日本人兵士たち。
舞台上では、時代も、敵も、特定されてはいない。戦争はいつ終わるとも知れず、捕虜たちは、日本に帰国する希望も持てない。祖国は荒廃し、帰国しても、そこに幸せが待っているとは、到底考えられない。
一方、南の島での生活は、何不自由なく、時間はゆっくりと、怠惰に過ぎていく。何もすることのない、生き続けることに何の目的も見いだせない捕虜たちの、おそろしいほどの退屈が、全編を通して克明に描かれる。『S高原から』『冒険王』の系譜を引く、どこにも行き場のない人々の切ない日々が、平田独特のユーモアをもって綴られていく。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
平田オリザを中心に1982年に結成された劇団。こまばアゴラ劇場を拠点とし、 平田オリザが提唱した「現代口語演劇理論」を通じて、新しい演劇様式を追求。この演劇理論は1990年代以降の演劇界に強い影響を与え続けている。 また、複数の演出家、劇作家、多数の俳優を有し、日本では珍しい「シアターカンパニー」として活動を続けており、若手アーティスト育成の場としても着実な実績を上げ、才気あるアーティストを多く輩出している。 2020年に劇団の機能を兵庫県豊岡市に移し、豊岡から演劇作品を創作・発信している。
組織は腐敗する、革命は堕落する。いかなる組織も、いかなる革命も。都市近郊の閑静な住宅街。ごく平凡な家庭が、二つのテロを企てる過激派集団のアジトになっている。空港突入と大使館襲撃。日常を引きずりながら突き進む、彼らの革命はどこへ向かっているのだろうか。2017年4月に入学したこまばアゴラ演劇学校“無隣館”3期生と青年団有志による合同公演として、 2012年に上演された『革命日記』を6年ぶりに再演。A
劇団には2年ぶりの新作書き下ろしとなった、平田オリザが市民社会の脆弱さを鋭く衝いた問題作。寮廃止反対運動から市民運動に発展したある集会を舞台に、一つの集団の崩壊の過程と、そこに潜む狂気を克明に描き、大きな波紋を呼んだ。02年には全国ツアーも行う。
<新作上演>ちっちゃい姫は、いろいろなモノに興味を持つお年頃です。「どうしてイチゴは、イチゴって言うの?」「どうして国によって言葉が違うの?」そんな無理な質問をして家来たちを困らせます。世界中の言葉を知っているシャベルン博士がやってきて、姫に少しずつ、言葉の不思議について教えてくれます。
日本の某国立大学の生物学実験室。遺伝子操作の技術が急速に進む中、猿を人間へと進化させる「ネアンデルタール作戦」はより進展し、作戦をいよいよ実行へと移そうと全国から猿の専門家たちが続々とこの研究室にやってくる。遺伝や進化などの最先端技術の話題から、自分たちの恋愛や結婚といった日常にまで飛び交う雑談。日本が世界に誇る「猿学」から、独自の人間論、日本人論が展開していく。