近未来の架空の戦時下、南方の島に囚われた日本人兵士たち。
舞台上では、時代も、敵も、特定されてはいない。戦争はいつ終わるとも知れず、捕虜たちは、日本に帰国する希望も持てない。祖国は荒廃し、帰国しても、そこに幸せが待っているとは、到底考えられない。
一方、南の島での生活は、何不自由なく、時間はゆっくりと、怠惰に過ぎていく。何もすることのない、生き続けることに何の目的も見いだせない捕虜たちの、おそろしいほどの退屈が、全編を通して克明に描かれる。『S高原から』『冒険王』の系譜を引く、どこにも行き場のない人々の切ない日々が、平田独特のユーモアをもって綴られていく。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
平田オリザを中心に1982年に結成された劇団。こまばアゴラ劇場を拠点とし、 平田オリザが提唱した「現代口語演劇理論」を通じて、新しい演劇様式を追求。この演劇理論は1990年代以降の演劇界に強い影響を与え続けている。 また、複数の演出家、劇作家、多数の俳優を有し、日本では珍しい「シアターカンパニー」として活動を続けており、若手アーティスト育成の場としても着実な実績を上げ、才気あるアーティストを多く輩出している。 2020年に劇団の機能を兵庫県豊岡市に移し、豊岡から演劇作品を創作・発信している。
ちっちゃい国のちっちゃい姫は、でっかい国の大きい王子にいつも いじめられています。 ちっちゃい姫は、何でも測れるハカルン博士に頼んで、ちっちゃい 国にある大きなものや⻑いものを捜す旅に出ます。 二人は、いろいろなものを測っていく中で、世界には、測れない もの、比べられないものがあることに気がついていきます。
1929年10月24日、ソウル。篠崎文房具店にも大衆消費社会の波が押し寄せ、新しい経営感覚が求められていた。この家の長女に求婚したアメリカ帰りの新進企業家。精神を病んで、入退院を繰り返している長男。エリートとして総督府に勤めながらも植民地支配への協力に悩む朝鮮人書生。満州へと向かう道すがら、京城を通り過ぎる謎の若き芸術家集団。関東大震災以来の重苦しい不景気を打開するため満州への進出を企てる日本国家
202X年、架空の青年海外協力隊第四訓練所。この年、日本政府の財政は破綻寸前となり、全ての海外援助活動の停止が決定される。最後の派遣隊員となる青年たちの訓練所生活の、その寂しく切ない悲喜劇を通して、人間が人間を助けることの可能性と本質を探る青春群像劇。平田オリザが桜美林大学演劇コースの卒業公演のために書き下ろし、大好評を博した本作を、青年団本公演として8年ぶりに上演。
閉塞状況の日本を逃れて、南のリゾートへ向かう豪華客船の甲板。「ニライカナイ伝説」をモチーフに、なにげない会話を通して人々の中に潜む差別意識や倦怠感が浮かび上がる…。`90年に沖縄県与那国島でレジデンス制作〜初演した作品の`95年再演ツアーを収録。