山道を走る、ピンク色の車。その車には若い夫婦が乗っていた。ワガママな妻と“いないもの”とされている夫。彼らはヒッチハイクをしていた一人の女を興味本位で車に乗せる。そして意気投合した女と妻は、あたらしい生活を始めるための旅に出るが、二人の旅先には“いないはず”の夫がいた。
小学生の頃、いじめられていた女が見違えるように綺麗になって同窓会の二次会に現れた。しかし、そこには見知らぬ女がおり、自分もクラスメイトだと言って同窓会に参加する。そして彼女は誰も触れたがらない、それぞれの過去について話し始めた。
私たちは、家族だった。結婚式場の控え室。新婦の女はウェディングドレスに身を包み、煙草に火をつける。彼女の視線の先には、初老の男たち二人。夫婦のようにも見える彼らのやり取りを“娘”である女は慣れた様子で眺めていた。“父”の一人である男の走馬灯として語られる、奇妙な家族のありふれた物語。
観音林まりあは、おのぼりさん。東京での生活にいつまで経っても慣れない上に、いつも鼻がムズムズ、喉もイガイガ。「私、東京にアレルギーなんだ」騙されてもほだされても友達のKちゃんとZちゃんに励まされ、彼女は今日もマスクにメガネのフル装備で、街に立つ。地方と東京、方言と標準語を行きつ戻りつ、一人のさまよえる魂の歌を津軽弁の調べにのせてお届けします。
青森県は六戸町犬落瀬村(ろくのへまち、いぬおとせむら)。あるタバコ農家の収穫と選別の一日。震災や昨今の嫌煙ブームの影響でタバコの売り上げは激減。このままでは離農を余儀なくされた数軒が、苦渋の選択の末、生活の為に手をだしたのは・・・長く続けてきたタバコ栽培のノウハウを活かし、愛する家族のため、農家としての誇りのため、可愛い孫のために大金を稼ぐ!
小山内家に嫁いだ桜子は、姑キヨの強烈な嫁いびりにより、ある場所から出られずに暮らしていた。そんな中、義理の姉、幸子が出戻ってきた。ようやくそこから出ることができた桜子だが・・・爆裂する津軽弁の響きを楽しんで頂くとともに、生々しく臭うような人間をぜひご覧下さい。さまざまな業の上に立つ三人の強い女”嫁・姑・小姑”の日常を切り取った、津軽弁エンターテイメントをお届けします。
高村光太郎と智恵子の生活を素材に、変わりえぬ日常を縦軸に、文学者の戦争協力の問題を横軸に、詩人の守ろうとしたものを独特の作劇で淡々と描く・・・。平田オリザ90年代初期の名作、10年ぶり、三回目の再演。
高原のサナトリウムで静養する人、働く人、面会に訪れる人…。静かな日常のさりげない会話の中にも、死は確実に存在する。平田オリザが新たに見つめ直す「生と死」。1991年初演の名作を、青年団若手公演+こまばアゴラ演劇学校“無隣館”修了公演として9年ぶりに再演。
組織は腐敗する、革命は堕落する。いかなる組織も、いかなる革命も。都市近郊の閑静な住宅街。ごく平凡な家庭が、二つのテロを企てる過激派集団のアジトになっている。空港突入と大使館襲撃。日常を引きずりながら突き進む、彼らの革命はどこへ向かっているのだろうか。2017年4月に入学したこまばアゴラ演劇学校“無隣館”3期生と青年団有志による合同公演として、 2012年に上演された『革命日記』を6年ぶりに再演。A
近未来の架空の戦時下、南方の島に囚われた日本人兵士たち。舞台上では、時代も、敵も、特定されてはいない。戦争はいつ終わるとも知れず、捕虜たちは、日本に帰国する希望も持てない。祖国は荒廃し、帰国しても、そこに幸せが待っているとは、到底考えられない。一方、南の島での生活は、何不自由なく、時間はゆっくりと、怠惰に過ぎていく。何もすることのない、生き続けることに何の目的も見いだせない捕虜たちの、おそろしいほ
日本の某国立大学の生物学実験室。遺伝子操作の技術が急速に進む中、猿を人間へと進化させる「ネアンデルタール作戦」はより進展し、作戦をいよいよ実行へと移そうと全国から猿の専門家たちが続々とこの研究室にやってくる。遺伝や進化などの最先端技術の話題から、自分たちの恋愛や結婚といった日常にまで飛び交う雑談。日本が世界に誇る「猿学」から、独自の人間論、日本人論が展開していく。
日本を逃げ出す富裕層の倦怠と衰退を描く問題作に“無隣館”の一期生が挑む。彼らの挑戦は希望の船出となるのだろうか。近未来、南へと向かう豪華客船に乗り合わせた日本人。それぞれの想いを胸に、船はゆっくりと進んで行く。はたして、彼らは、なぜ南を目指すのか、南には、何があるのか。
北海道空知地方、夕張。1980年代初頭。かつて良質な製鉄用コークスを産出し、高度経済成長を支えたこの地方の鉱山も、エネルギー政策の転換や、安い海外炭の普及により閉山に追いやられていた。「石炭から石油へ」「炭鉱から観光へ」国策で推し進められてきたはずの産業は、急激な転換を迫られ、混迷し、国からも企業からも見放され衰退していく。それから約20年後、2000年代、財政破綻後の夕張。再建の道は絶望的とされ
青年団若手自主企画vol.86
1980年東京、フミエ、アヤ、コウは父親なき後もそれなりに暮らしている。ある日、コウと連絡が取れなくなる。洞窟を訪れ、ヘビに出会い、姿を変えられたコウ。2019年東京、タナベ、ナツミの元には連絡の取れなくなっていたヨシカワが突然現れ、山に行こうと言い出すが。40年前、40年後の世界が同時進行する、同時多発SF郷愁ロードームービー演劇。
2017年。関東圏郊外。三人姉妹が住む一軒家。長女は、知的障がい者である。親はもうなく、主に三女が家を仕切っている。次女が結婚し、夫と建てた新居への引っ越し日。引っ越し業者とともに作業をする姉妹たち。そこに、長女と結婚したいという男が現れる。
関東圏郊外。三人姉妹が住む一軒家。長女は、知的障がい者である。親はもうなく、主に三女が家を仕切っている。次女が結婚し、夫と建てた新居への引っ越し日。引っ越し業者とともに作業をする姉妹たち。そこに、長女と結婚したいという男が現れる。
仕事場、私生活。ちっとも上手くいかない。私は他の人と何かが違う。病院で検査を受けたら、ただの性格の問題と診断された。僕は/私はどうやら『普通』らしい。ここからどこに向かえばいいのか。発達障害グレーゾーンをテーマに描く、青年団リンク やしゃご第4回公演。
ある汚いシェアハウスに、日本人と中国人とベトナム人が住んでいました。皆は貧乏ながらに割と楽しく暮らしていましたが、ひとりひとり、悩みを持っていました。ある日、技能実習生のベトナム人が、一通の手紙を残して失踪してしまいました。そこには、ギリ判別できる文字で「ごめんなさい」と書いてありました。2020年、日本の夏の話。
茨城県M市。納豆と梅くらいしか誇れるものがない『そこ』に住む男と女。女は心臓の病を抱えており、出産は禁忌だが、子を宿してしまう。その、十月十日と、5年後のお話し。