昭和17年1月8日亜也子は北浦家へ嫁いだ。祝言の日、姑・操との葛藤は火花が散り、夫・清三郎には召集令状がまい込む。姑夫婦、小姑、疎開してきた親子までを亜也子一人で養って行かなければならなくなった。土地のクセ者とわたりあい、あらゆる手段で生き抜いていく。銃後もまた戦場である。終戦をむかえても亜也子の戦いは益々困難をきわめていく。そして日はめぐり、大晦日。ささやかな餅つきの場に、戦死したはずの清三郎が還ってくる―。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団俳優座に在籍していた10名の若手俳優たちが日本の現実を反映させた創作劇の上演を強く願い、1954年劇団青年座を創立しました。現在劇団員と研究生をあわせ約200名が所属。創作劇の他、海外現代戯曲、過去の秀作等、幅広いレパートリーを有しますが、創立からの基本理念は変わることはありません。今後も日本の創作劇上演を柱にした公演活動を続けることによって、日本演劇の民主的発展に寄与し、舞台芸術を通して日本文化の向上をはかることを目的として活動します。
明治44年秋、岡崎の女子師範学校寄宿舎には、教師を夢見る少女たちが日本各地から集まっていた。誇りと若さにあふれる学舎では、下級生の憧れ、教師達も一目を置く文武両道の光島延ぶが仲間達と生活をしていた。一人の女性との出会いで未知への扉が開かれ、好奇心と夢が膨らんでいく日々であったが、ある日校長の手によって「質実剛健」の校風が「良妻賢母」にぬりかえられてしまった。少女たちの怒りは爆発し、「ストライキ」を
青年座・セレクションvol.5
ノッポが突然姿を消した。かなりの年月が経ち、友人の元にその男から戯曲が届いた。戯曲はイエス・キリストが十字架にかけられた頃のエルサレムが舞台。神をののしる男、神を信仰する女、神の身代わりだと言う盗賊の姉弟、神に憧れる奴隷、神のことを知らない娼婦が登場する。ノッポが生きた現実世界と戯曲の世界が交差する。信じることそして人を愛することは何か…
赤穂の家臣不破数右衛門は、薩摩源五兵衛と名を変え、義士の仲間に加わろうと金百両を工面していた。が、芸者小万の妖しさに惹かれ、夜毎逢瀬を重ねていた。だが、実は小万には夫三五郎があり、晴れて夫婦になるには三五郎の父に金百両を渡さねばならなかった。二人は大芝居を打って源五兵衛から金を騙し取り、夫婦であることを告げる。武士を捨て、小万との愛に生きようとしていた源五兵衛の絶望と怒り。しかしそこには驚くべき真
「違います!」被告・吉田静子の悲痛な叫び声が法廷に響き渡った。その罪は放火殺人。夫と姑を焼死させたのだ。東京地方裁判所に集められた様々な職業の十二人の男たち。決めつけ、戸惑い、無関心、心配事、様々な人間模様の渦巻く中、真実に向き合わされた十二人の日本人が出した結論とは?昭和三年から十五年間、日本でも陪審裁判が行われていた。