1958年、大阪砲兵工廠跡地。大阪城が見下ろすこの場所に、その「廃墟」は存在した。かつて、アジア最大ともいわれた兵器工場は終戦間際、大規模な空襲を受けて、見渡す限り巨大なコンクリートと鉄骨の、瓦礫の山と化していた。そしてこの「廃墟」に夜な夜な侵入し、鉄くずを掘り起こし、それを売って生活の糧とする朝鮮人集団がいた。通称「アパッチ族」―しかし鉄屑は国有財産。ついに警察が取り締まりを始める。漆黒の闇の廃墟で、警察とアパッチ族の戦いが過熱していく。それは、日本の中で身を寄せ合うようにして暮らしていた在日朝鮮人たちの、生きるための戦いであった。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
日本劇団協議会は、文部省認可の現代演劇で唯一の社団法人として、 1992年6月30日、新劇団協議会を母体として設立されました。 その後2008年12月の公益法人制度改革関連3法の施行を受け、 2012年3月内閣総理大臣より公益社団法人の認定を受け、同年4月1日に登記しました。 正会員は演劇創造団体で、2020年12月現在51団体が加盟。 現代演劇の振興に関する事業を行い、演劇創造団体間の交流・連携を図り、 芸術文化の発展向上に寄与することを目的とし活動しています。
平成14年度文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員として、シンガポールの演劇学校「TTRP」でアジアの総合演劇を学んだ成田独歩の演出公演。シンガポールを代表する劇作家フジール・スライマンの作品の日本初演。医療・バイオテクノロジー分野で最先端をゆくシンガポールの近未来を舞台に、自分とは?生きるとは?愛とは? 人間が生きていく上での重要なテーマを観客に問いかける。裕福な未亡人、キャサリン・リー・ある日、
「日本の劇」戯曲賞2014最優秀賞を受賞した原田ゆうの作品。昭和13年の春、新美正八(南吉)は望む職を得られずにいたが、漸く女子学校の教職に就くことができた。童話作家としても知られるようになり、いよいよ人生が拓けていくかに見えた。しかし、病が正八の身体を静かに蝕んでいき・・・。正八を見守る実父と継母、幼馴染み・ちゑとの恋愛、正八を慕う女生徒、幼い頃に逝った実母への思い、そして、文学への情熱。童話作
「日本の劇」戯曲賞2016最優秀賞を受賞したくるみざわしんの作品。同じ郷で同じ年に生まれた「同郷同年」の3人の男。核廃棄物の最終処分場の誘致に乗り出したが、是非を問う住民投票で彼らは惨敗。その夜、追い詰められた1人が、ある決断を告げる。郷土への思いの果てに、彼らを待ち受けているのは未来への希望か、それとも破滅へのカウントダウンなのか・・・。
平成15年度文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員として、イギリスロンドンで1年間研修した土田英生の作・演出公演。いつの話なのかは分からない。ロンドンにある日本食レストラン「有栖川」。日本食が定着しているので、どこの日本食レストランも地元の人などで賑わうのだが、ここだけは違った。ロンドンの生活に馴染めない日本人たちの吹きだまりなのだ。だったら日本に帰ればいいのにと思うような人ばかりが集まっている。例